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2010年7月27日 (火)

活字文芸誌「Zowv(ゾヲヴ)」22号(東京)

 本誌は日本作家クラブ会員で新聞連載をしている人や写真家などが、商業的には求められない? ジャンルのものを執筆しているようだ。同人誌のひとつの在り方ではある。
 雑誌に同封してあったメモによると、同人は15名ほどで、年4回発行しているという。「同人誌にとって大きな課題は、読者の確保であり、同人たちの成長には欠くことのできない要素と考えております」とある。(こういうのは助かる。金のかかった立派なつくりの雑誌で同人誌というのがないのもあるので。新興宗教の雑誌じゃないだろうな? などとしばらく置いておいたりする)。
【「夢見るハツコのパラダイス(中学生―意識の思想と意識の別れ道編)」金子佳世】
 在日朝鮮人の2世か3世のハツコの体験。朝鮮人学校に入学し、複雑な様相に戸惑う。困惑する状況が新鮮に読める。普遍的な人間性の側面を中心に描いてあるので、国家と国家の折り重なった間で生活する奇妙な感覚が伝わってくる。一番の読み物。日本政府も手を貸した北朝鮮への帰還については、国に騙されたか、という疑問も、国は人を騙す意志ってどこからくるのか、と考えるとややこしい。騙す気があったと、誰が言えば国が騙した証拠になるのか。ややこしく、わからなくなる話である。また公安警察の情報収集もチラッと出てくる。インパクトがある。
ーーこの作品には関係ないが、拉致を早いうちに阻止しておけば、犠牲者はもっと少なかったろうに。国は国民を守らないと、割り切ればあきらめもつく。メディアは金賢姫の来日に、トンチンカンな報道をしている。自民党は、情報収集が税金のムダ使いだとーー。自分の政権の時に国民を守らなかったのにね。《参照サイト:「Zowv」
。(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

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