同人誌「相模文芸」第20号(相模原市)
10周年記念特集で、カラー写真入りの300頁にわたる豪華版である。相模原市は人口72万人、全国で19番目の政令指定都市になったそうである。写真家の江成常夫氏がパラオの海に今も沈む日本軍のゼロ戦闘機の残骸写真と一文を掲載している。
【「含笑些話異聞(三)老樟(くす)の香」中村浩巳】
退職の高齢者夫妻の生活を、ユーモラスな筆使いで、しかもリアルで幻想的に描く。自在な表現を駆使して面白がらせる。逞しさを感じさせて、ほんとうに面白かった。
【「鱗子」白銀律子】
ある恋愛の物語を、短く詩情をもって語るが、ほとんど全体が詩。感覚が澄んでいてシャープ。魅力的な作風をもつ詩人である。
【「私的な小説作法と意見」外狩雅巳】
明解で力強い描写力のある文体を発揮し、伝達力を重視する意味では、現代的な作風をもつ作者。東京・中野の新日本文学会の学校、池袋・大塚の民主主義文学、三田の中央学働学院など、労働者文学で学んだ経過と創作に関する持論が述べられている。自分から見ると、外狩氏の作風は、文学的な表現には考慮に入れず、素朴で粗削りの良さを持つように読めた。この論で、その理由がわかる。
また、体験から生まれる細部の面白さがあり、著作「この路地抜けられます」が書店で300部だか売れたというのも理解できる。小説の要素である「この人を見よ」と「この現場を見よ」という二つのコンセプトがあるので、週刊誌的な面白さも含むのである。
自分も新日本文学会の中野には通った。その頃は詩を書いていたので、長谷川竜生、針生一郎、菅原克己などが講師にものを聴講したものだ。
その他の作品も表現が明解な感じがして、雑誌として面白い。
(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)
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