<詩の紹介> 「真鶴峠」 戸上寛子
半島は原始の風貌で/歩き続けるわたしに/波はここまで追いかけてくる
てさぐりでたどりついた岬は/暗く/眠ることもしない
波の白さは/記憶につながる夜の中に/汗ばんだ肌ほどに無縁であったろうか
昏れ残る波もあると告げた/不眠の日の/月明の樹林
今日の時間さえも崩している/砂の音/波の声
わたしの心に刻まれた/原始の風貌の半島の岬
詩誌・岩礁143より 2010年6月 三島市 岩礁の会
☆
時間が流れても、人為的な加工がなければ、地球は原始の風景で居られる。真鶴半島には、溶岩流でできた転石海岸、原生林など時間の進まない原始の空間がある。なにもないまま作者のこころを惹きつかれる。岬。樹。月。不眠の夜に聴く波の声。砂の音。一句一句に波のように押し寄せてくる作品である。<紹介者「詩人回廊」江素瑛>
《参照:真鶴半島PJニュース》
《参照:真鶴岬転石海岸PJニュース》
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