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2010年6月18日 (金)

<詩の紹介> 「真鶴峠」 戸上寛子

半島は原始の風貌で/歩き続けるわたしに/波はここまで追いかけてくる

てさぐりでたどりついた岬は/暗く/眠ることもしない

波の白さは/記憶につながる夜の中に/汗ばんだ肌ほどに無縁であったろうか

昏れ残る波もあると告げた/不眠の日の/月明の樹林

今日の時間さえも崩している/砂の音/波の声

わたしの心に刻まれた/原始の風貌の半島の岬

         詩誌・岩礁143より 2010年6月 三島市 岩礁の会
                 ☆
 時間が流れても、人為的な加工がなければ、地球は原始の風景で居られる。真鶴半島には、溶岩流でできた転石海岸、原生林など時間の進まない原始の空間がある。なにもないまま作者のこころを惹きつかれる。岬。樹。月。不眠の夜に聴く波の声。砂の音。一句一句に波のように押し寄せてくる作品である。<紹介者「詩人回廊」江素瑛>
《参照:真鶴半島PJニュース
《参照:真鶴岬転石海岸PJニュース

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