このごろの文芸同人誌に関する話
4月末の農民文学賞の贈呈式に出席したときに、かつての受賞作家の方々と話をする機会があった。同人誌作品紹介を、会員のだれか読んでいるという人が幾人かいた。そのなかで北原文雄さんであったか、「自分たちの同人誌・淡路島文学は、書き手が高齢で、どの作品もこれが最後の発表になるかも知れんと思ってやっているので、積極的に取り上げて欲しい」というような話であった。そういう姿勢もあるのか、と印象に残った。最近、ネットでの同人誌の情報が充実してきた。同人誌評として、作品のその良し悪しを評価するものが最近は沢山ある。自分の役割は済んだような気がする。
また、評論で受賞歴のある杉山武子さん(参照:HP)ともお会いして、著作『矢山哲治と「こをろ」の時代』 (単行本)―現在、読んでいる途中だがーの刊行や「文芸同人誌案内」の運営者ひわきさんとも友人であることなどを知った。
自分が「作品紹介」としたのは、社会の反映としてこのようなものがあり、「読みどころをさがす」という研究の視点で書いてきたつもりである。
これまでの同人誌を読んできた経験から、 生きがいと文芸同人誌を並列に考えた評論「菊池寛の作家凡庸主義と文学カラオケ化の精神」にしてみた。
同人誌作品紹介は、2001年に情報紙「文芸研究月報」で始めている。研究対象としての読者であった。折角読んだので紹介記事にしようという動機なので、権威など不要であった。その頃の反応は、その同人誌に入会したいというものがあった。しかしネットになると、紹介した同人誌が欲しい、という問い合わせがいくつかある。また、書店からお客が、本欄で紹介している同人誌を欲しいので取り寄せて欲しいと頼まれた。連絡先を知りたいというのもある。自分は批評よりも紹介スタイルのほうが意義をかんじる。
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コメント
こんにちは。ひわきです。
「農民文学賞」と聞けば、私はすぐに杉山武子さんを思い浮かべます。彼女の行動力にはいつも感心しています。それは著作にも表れていて、読んでいると彼女と一緒にその場に立って体験しているように感じます。
「文芸研究月報」は懐かしいです。ちゃんと保存していますよ。同人誌のこともよく分からず、2003年5月に「文芸同人誌案内」を始めました。月報を受け取る度に「同人誌のために、こんなことをしている人もいるんだ」と、とても励まされました。あの時の気持ちをよく思い出します。
投稿: ひわき | 2010年6月19日 (土) 14時55分