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2010年5月21日 (金)

「クォンタム・ファミリーズ」で第23回三島由紀夫賞に決まった 東 浩紀さん(39)

現代思想から美少女ゲームまで、自在な言論で若い世代に影響を与える批評家は、会見で早口に喜びを語った。もともとSF好きの文学少年。「作家転向」は長年の夢の実現だ。
 東大大学院在学中のデビュー評論「存在論的、郵便的」は11年前、この賞の候補になっている。受賞作「クォンタム・ファミリーズ」は、その「続編」と自ら呼ぶSF的な長編。「この小説を書くこと自体が、僕にとって、もう一つの、可能だった人生を生きることでした」
 主人公の男性の元に一通のメールが届く。差出人は2035年の世界に生きる、生まれていないはずの娘。娘が生きる並行世界へと移動する主人公――。「自我の分裂を招きかねないネット中心の現代社会に生きる人間を、正面からとらえた」と評価された。
 篠山紀信氏が撮影した4歳の長女とのツーショットが、この春「早稲田文学」の表紙を飾った。「僕にはピントが合ってなくて」と笑顔に。新世紀に入り存在感を示してきたスターには、そんな実生活の一面もある。(文化部 堀内佑二)(2010年5月19日 読売新聞)

《参考資料; 山川豊太郎…「東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』とゲーム的リアリズムの今日性について」》
                 

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