<詩の紹介> 「日時計」青葉茂
私は一度も死んだことがありません だから、よく解らないのが 静かに息を
吸いながら あなたの詩をゆっくりと読みました ゆっくりと
もう一度と言う声にうながされ 残照の黄色の花に気がついた
紅いバラが大好きなあの人は 陽炎ゆらめく春の野を 小川へ遊びに歩いてた 忙しげな揚げひばりの声も 明るい空の光も気にせずに 赤い鼻緒の下駄はいて はしゃぐ影法師追いかけて 小さな日時計手に持って
詩集 「啄木鳥」より(09年12月 東京都杉並区 青葉茂)
(紹介者 江素瑛)
一人の老いた男と、いつまでも小さな女の子と存在している「あなた」との思い出が、静かな時空で織りなす美しさ。透きとおった小渓の流れのような詩である。
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