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2010年3月 1日 (月)

同人誌「小説と詩と評論」第329号(東京都)

 本誌には第6回森田雄蔵賞(陽羅義光主宰)の受賞作が発表されている。藤田愛子「横須賀線」(同人誌「構想」掲載)、畠山拓「幼心の記」(同)が受賞作。賞金は五万円を折半、掲載誌「構想」に一万円授与される。
 備考として「森田雄蔵氏(1910年~1990年)は、「小説と詩と評論」の元発行・編集人。木々高太郎氏(直木賞作家)が創刊したものを20年以上にわたり主宰して現在に承継した人」とある。
【「蛍橋」雨宮湘介】
 幼な馴染みの夏子という女性をめぐる恋情のさや当てと友情を描く抒情的な短編。筋立ては平凡だが、行間に文学的な情感を横溢させているので、人物が短い表現でありながら清澄感ゆたかで、陳腐さから脱しているものがある。文体を吟味してみても、計算でそうしたというよりも、天賦の才能のようなものを感じさせる。エピソードを交えた話しの運びの呼吸もよく、計ったように納まっている。
【「詩に出会うとき―ポー詩集」石川友也】
 ポーの「大鴉」といえば小説で有名だが、詩として全文が掲載している。アルコール依存症の幻覚をそのまま作品にしたような作風だが、あらためて詩を読むと、死の象徴である大鴉のイメージには芸術的な工夫が凝らされていて、効果的なのがわかる。恐怖だけでなく、幻覚的な対象を静かに観察し見守る覚悟というか、徹底した自己観察があるように思った。興味深く読んだ。
発行所=〒123-0864東京都足立区鹿浜3-4-22、(株)のべる企画
(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

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