30歳以下の書き手だけの増刊「U30」刊行=早稲田文学
『早稲田文学』は、30歳以下の書き手だけを集めた増刊「U30」を刊行した。紙媒体からウェブへの移行期の文芸誌のあり方を模索する試みだ。
第22回早稲田文学新人賞でデビューした間宮緑さんらの小説5編と、評論8編を収録。批評家の福嶋亮大さんの論文「現代中国文化に見るネットワーク効果」は特に興味深い。中国の新世代作家がウェブで作品を無料公開しているにもかかわらず、本が驚異的な部数を売り上げている現象などを例に、インターネットの普及で生じた文化や歴史観の変質を論じる。
今月中旬には、ネット上で寄せられた感想や疑問に答える電子版を無料公開する予定。編集を担当した同誌編集室の窪木竜也さん(27)は「1980年代生まれの世代は、10代半ばから紙とウェブの両方に触れてきた。紙媒体が最終形ではなく、データと紙を往還する中で見えてくるものがあるのではと思う」と語る。(10年3月2日 読売新聞)
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