年賀メッセージ: 西尾維新さん
西尾維新です。あけましておめでとうございます。
2010年ですね。振り返ってみれば、去年はあまり小説を出版できなかった印象があります。
本人的には割と働いたつもりなんですけれど、書き下ろし小説に限れば2冊ですか。ただ、文庫化やアニメ化のおかげで、仕事ぶりとしては例年と変わらぬ貢献ができましたようですので、まあいい年だったと言えそうです。とは言え安定してばかりもいられません。出版界には現在、不況の波と共に電子書籍化の波が押し寄せて来ております。数年のうちには紙媒体が過去のものになりかねない情勢です。新時代の幕開けはすぐそこです――って対応できるわけね-じゃんそんなの!
なんだよ電子って!原子核のそばを回ってるあいつか!そんなわけでペーパーが幅を利かす(紙幅?)「古きよき時代」のうちに、できる限りの小説を書いておこうと思います。あー、ワープロが登場したときの小説家ってみなさん、こんな気分だったのかな……。
では軽く今年の執筆予定など。まずこの文章が配布される前後には物語シリーズの最新作『猫物語』を書き終わってるはずです。ゴールデンウィークのお話です。物語シリーズではもう一本、迷子の子の話で『傾物語』を書くつもりですが、それを書くのは夏頃です。
世界シリーズ第5作『ぼくの世界』は、メフィストの4月発売号に「第さん問」を発表、その続きは書き下ろし。たぶん全六話の短編集になると思います。世界シリーズはこれで完結です。
完結というならば、パンドラ連載小説『蹴語』、あちらも本年中に最終話を書き下ろしてしまおうと考えています。予定より長引いてますが、文字通りケリをつけようというわけです。
忍者小説『真庭語』のエピソードは、残すところあと8人。『刀語』のアニメも放映されていることでしょうし、これも今年中には書き終わっておきたいです。そうそう、つい先ごろに講談社100周年企画で刊行させていただいた『難民探偵』、なんだか評判がよかったので続編の制作が決定しました。今年中に『難民探偵2』を刊行できるでしょう。そしていよいよ『緋色の英雄』。タイトルで大体誰の話かわかっちゃうと思いますけれど、まあ彼女の生い立ちの物語です。カバーから小口から活字まで、全部赤色でお願いしたいです。電子書籍じゃ無理っていう。以上!
まあこれ僕が書くってだけのことで、出版社が書き上がった原稿を引き取ってくれるかどうかはわかんないですけど。それでは今年も――というか、電子書籍時代の到来まで、よろしくお願い
します。 西尾維新(講談社『BOOK倶楽部メール』 2010年1月1日号)
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