« 12月6日の第九回「文学フリマ」にあわせて奥泉光氏のイベント同時開催 | トップページ | 光市の母子殺害、元少年の出版差し止め却下 »

2009年11月 9日 (月)

居酒屋女将「文学界」デビュー。大阪市の鈴木さんが同人雑誌評で優秀作

 大阪市都島区でたこ焼き居酒屋「美輝(みき)」を営む鈴木郁子さん(48)の小説「ウロボロスの亀」が、同人雑誌評で46作品の中から優秀作に選ばれ、発売中の雑誌「文学界」(文芸春秋)11月号に掲載された。鈴木さんは、店に訪れる客を観察してイメージを練ることもあったといい、「同人の活動を広く知ってもらうきっかけになれば」と喜んでいる。
 鈴木さんは、アルバイトをしていた27歳の頃に小説を書こうと思い立ち、私塾・大阪文学学校(同市中央区)に入った。2年間、プロの作家から表現手法を学び、卒業後は同校OBの同人グループ「せる」に所属。西村郁子のペンネームで、約10作品を同グループ発行の同人誌に出してきた。
 選出作の舞台は大阪の下町。「ニム」というあだ名の女性を主人公に、専門学校同窓の男性や、その交際相手で体にたくさんの傷がある女性が登場。ニムが男性を好きか嫌いか分からなくなったり、女性の代わりになりたくて自身の体に傷を付けたりする場面が描かれる。作品名は、自らの尾をかんで輪になった蛇「ウロボロス」から取り、「終わりも始まりもない」などの意味を込めた。
 仕事前の午前中を執筆に充て、約3か月で原稿用紙約60枚分を書き上げたという鈴木さん。仕事中に登場人物の生活が頭に浮かぶこともあったといい、「現実と架空の世界の二つの人生を同時に経験している感覚が楽しかった」。
 離婚を経験した女性の恋愛模様を描く新作も同人誌に近く発表予定で、「何でも書けるのが小説の魅力。これからも、誰も書いたことのないような作品を書きたい」と意気込む。
 同人雑誌評は、文学界で1951年に始まった企画で、様々な同人誌に掲載された作品を審査。今年から文芸雑誌「三田文学」(三田文学会)が審査を引き継ぎ、年2回、優秀作を1作ずつ選んでいる。(09年11月6日 読売新聞)

|

« 12月6日の第九回「文学フリマ」にあわせて奥泉光氏のイベント同時開催 | トップページ | 光市の母子殺害、元少年の出版差し止め却下 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 12月6日の第九回「文学フリマ」にあわせて奥泉光氏のイベント同時開催 | トップページ | 光市の母子殺害、元少年の出版差し止め却下 »