同人誌「淡路島文学」第4号(洲本市)
同人誌が送られてくるが、現在は読んでも紹介するほどのゆとりがない。第九回文学フリマに、あわせて販売する「詩人回廊2010」の制作や、会員の出版の支援、その他、頼まれ事が重なってしまった。今は、本誌に関しては、下記の文学的な論文のみを紹介する。
【「環境ファシズム上部構造についての考察ノート(前編)」奥本隆司】
これは環境問題を材料に商業活動が(マスコミ宣伝商売も含めて)活発化していることを指摘したものである。なかに「同人誌などだれも読んでくれないものですし、読むに値するものであるとも思えないのですが、実録としてありのまま書くと環境ファシストたちに袋叩きに……」という冗句があるのは、笑わせられる。(同時に、このような意識で、同人誌が書かれているということも、大変興味深いものがある)
マルクスの話が出てくるが、マルクスは資本論では経済学的に社会分析したが、共産主義運動という活動にも参加し、論理的には自己矛盾することをしている。
マルクスは、人間を自己中心的な行動をするという前提で、アダム・スミスやヘーゲルの思想を受け継いでいる。自分に都合が良いと思うことを選択する人間の特性は、物理における引力のような共通性があるとしないと、経済学は理論にならない。
ところで、地球温暖化は、人類の歴史からはじまった時から起きていることがわかる。例えば6000年前の縄文時代には、氷河期が終わると地球の温度が2度上昇したため、今よりも海面が2メートル高く、時には8メートルも高い時期があったとある(小学館「日本歴史館」による)。
それ以降、温暖化は長く続いてきたために日本列島は緑豊かな島国になったのである。つまり、人間が何もしなくても、温暖化で海面が8メートル上昇することがあっても、それは地球気象学的には過去にあったことなのだ、とわかる。
その事実と、環境問題とされることとはズレがある。しかし、人間が機会さえあれば自分だけ、時代の流れに乗って利益を得ようとする行動とが結びつくことは、有りうることである。
アメリカが自動車社会になったのは、自然にそうなったのではない。フォードなど自動車メーカーが謀略を用いて、意図的に鉄道を潰した向きもある。
いま、アメリカは鉄道主義を復活させようという動きがある。これらは歴史的な事実であるが、知りたくない人が多いと知られないのである。
この考察では、風力発電が低周波公害を起こしていることも指摘されている。現在、低周波の出ない風力発電装置もベンチャー企業が手がけている。いずれにしても政府の補助金があるかぎり試行錯誤しながら開発されるであろう。
レーニンは「帝国主義論」で、社会の動きを分析するのには、すでに発表された公的な資料があれば充分で、特別にデーターをつくるほどのものでないと記している。この考察は、その点でもよく資料を集めている。(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)
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コメント
「淡路島文学」の作品紹介記事、ありがとうございます。
合評会があるので、作品を書いた本人にコピーを見せたいと思います。
彼はわが同人の中ではユニークな若手(といってももう40歳にもなるか)で、いろんな課題について、分析力・表現力をもった人だと思います。「同人誌などだれも読んでくれないものですし、読むに値するものであるとも思えないのですが……」というのは、たしかに面白く、「ずばり」です。
同人雑誌は「修練」の場所で、人に読んでもらう場所ではない、というのが実情でしょうか。(宇津木洋)
投稿: utsugi hirosi | 2009年11月28日 (土) 00時56分