同人誌「相模文芸」第18号(相模原市)
30人近い参加者の作品が掲載され、カラー表紙絵、中にはカラー記録写真(江成常雄「ガナルガダルの『故郷』の歌」)もある。多くは目を通せないので、目についたものだけを紹介する。
【「断食道場」宮本筆】
断食で病気を治す道場に行った経験談のようだ。断食体験の光景がドキュメンタリー的な面白さを持つ。
【「文豪の遺言」(四)木内是壽】
松本清張、林芙美子、島崎藤村、火野葦平の遺言から、作家の人生感、死生観が解説されている。調べるのは大変そうだが、どれも大変面白かった。
【「輝く青春の日々―手記―」外狩雅巳】
目次では小説となっているが、固有名詞や仕事の内容の詳細なところから、ほとんど事実に即しているように思える。1942年生まれで、私と同年である。夜間大学に通っているところや労働運動に参加し、大学では全共闘時代を過ごしたのも同様である。ただ、私は資本論と革命を研究したが、学生運動には参加しなかった。それでも研究をしているというので、いろいろと巻き込まれた。そのため面白く読んだ。
ここにもレーニンやトロツキー、第四インター、核マル派などの活動に巻き込まれている様子がある。自分は彼らの理論が理解できずに(頭のいい連中なのに、行動原理がめちゃくちゃでついていけなかった)。少数グループで革命論を研究していた。同時に昼間の仕事でダイエーなどの流通革命の激変にかかわっていたので、デモに関与することよりも現実に関与せざるを得なかった。作品中で、ゲームのセガ社の話が出ている。自分はジュークボックスのセガ・エンタープライズの時代に、ジュークボックスの市場調査でマネージャーと会った記憶がある。調査では衰退すると結論したが、やはりなくなった。
いずれにしても、高度経済成長期だからこその輝く青春の日々。現在の状況の厳しさとは、比較にならない。
【「ねこ語」/「まんびき」はまむらひろぞ】
ショート・ショートが2作。「ねこ語」は、洒落ていて面白い。「まんびき」は書店の本を万引きする話だが、その本が、椎名麟三「赤い孤独者」、梅崎春生「日の果て」、武田泰淳「風媒花」、鶴田知也「コシャマイン記」、カミユ「異邦人」、サルトル「嘔吐」。そして万引きしたのは、太陽のせいだとする。時代離れしてはいるが、考えさせる。
事務局=相模原市相生2-6-15、外狩方。 「相模文芸クラブ」サイト
(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)
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