« 詩の紹介 「代用教員志賀先生」張建墻(チョウ ケンショウ) | トップページ | 詩集「野の民遠近」大塚史朗(群馬詩人会議出版) »

2009年9月27日 (日)

古処誠二さん:『線』(角川書店) 戦争中の人間描き続ける

 作家の古処誠二(こどころせいじ)さん(39)が短編集『線』(角川書店)を刊行した。フィリピン戦を舞台にした『ルール』(02年)、日系米兵の視点で沖縄戦を描く『接近』(03年)など、太平洋戦争をテーマに小説を書き続けている著者が、新刊ではニューギニアでの戦いを題材に選んだ。
 「マラリアで苦しんだことが他の戦場と比べて際立っている。いつか書こうと思っていた」。今年3月、現地を訪ねたが、直接その見聞を作品には入れていない。「健康で、すぐに帰国できる人間の感覚で見たものを小説に入れると、当時とはずれてしまうかもしれないと思う」
 連合国軍の拠点攻略を目指すが、やがて敗走していく日本軍を輜重(しちょう)兵(食糧、弾薬などの輸送が任務)、工兵、病兵や台湾の原住民族で結成された高砂(たかさご)義勇隊などさまざまな視点で描く。
 「あの戦争をどう考えるか、個々の兵士をどうとらえるか、という政治的、思想的なことには興味がない。戦争は実際悲惨だったが、それを訴えたり、だからといって戦争を批判する気もない」。ニュートラルでいることを心がけている。
 「戦争小説」と言われることも嫌う。「人間の姿をいろいろ描くのが小説の魅力ではないかな。書いているのは戦争中の人間の話。戦争中以外の話は他の作家が書いているので、私がやる必要はない」
 高校卒業後、さまざまな職業を経て航空自衛隊に入隊。在籍中、必要があって戦史を勉強したところ興味を覚えたという。7年ほどで自衛隊を辞め、小説を書き始めた。戦争を描くのは職歴とは関係がない。たまたま戦史に関心があるのと、他に書いている人がいないから。こうした経歴を紹介されるのも、「小説に先入観を与えるから」実は嫌なのだという。
 「本当に自由に読んでもらいたいなあ」【内藤麻里子】(毎日新聞 09年9月23日)

|

« 詩の紹介 「代用教員志賀先生」張建墻(チョウ ケンショウ) | トップページ | 詩集「野の民遠近」大塚史朗(群馬詩人会議出版) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 詩の紹介 「代用教員志賀先生」張建墻(チョウ ケンショウ) | トップページ | 詩集「野の民遠近」大塚史朗(群馬詩人会議出版) »