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2009年8月10日 (月)

詩の紹介 「年々歳々」 皆木伸昭

(紹介者 江 素瑛)
生きていることは、つねに変化のなかにいることです。血圧と脈拍の微動と同じ、刻々変わるのです。死ぬ時は、物質そのものとなり、血圧も脈拍もゼロになる。生き物にとっては、唯一変えられない事実です。人も花も「変わるために」生きるようなものでしょう。懐かしまれるために存在する、ということではないのかも知れません。
   ☆
「年々歳々」    皆木伸昭

  年々歳々花同じゅうして
  年々歳々人同じからず
中国の故語は
確かにそのとおりであるが
決してそうではないとも思う

かつて
田んぼや畑の畔や野や山に   
いっぱい咲いていた花が
すっかり姿を消して
いままで見かけなかった花が
ここかしこに咲いている
たんぽぽのように
ちょっと見ただけでは同じようで
よくよく見るとちがう花もある
去年までは見かけたのに
今年はいくら探しても無い花もある

年々歳々
人も自然も同じではないのだ

「岩礁」139号より  三島市・岩礁の会(09年6月)

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