«  「野間宏の会」奥泉光さんらがシンポジウム!人間探求こそ文学 | トップページ | 文芸時評<文学6月>読売新聞・失われた10年の「前史」 »

2009年7月 1日 (水)

詩の紹介   「塒(ねぐら)」原かずみ

(紹介者 江 素瑛)
長閑な風景。当然のごとくある平和、その平和に狙撃手の目が赤々と燃える。貪欲と残虐、武器を持たない弱小者を犠牲にする世の情勢。作者の怒りと不安が伝わってくる。
         ☆
「塒(ねぐら)」
空の入り江に/水鳥たちが漂っている/長い首を器用に曲げ/翼に嘴を差し入れて/毛繕いをする野鳥たち/今 ここに湧き出たばかりのような/純白な羽が空の水をはじいている//

入り江の向うの/青黒い雲陰から/ひとりの猟師が/水鳥を狙っている/両手に握られた銃身/その重さの分だけ/皮膚をたらし/両目を血走らせて//

爆音と共に/一羽の水鳥の目が射抜かれる/天空に滲んでいく朱/ざわめき立つ鳥たち/そうして知る/鳥たちが一羽として飛び立ってないことを/真っ白の羽の下に/傷を隠し持った鳥たちであることを

猟師は明日も/まんまと/一羽の獲物を射止め/冷ややかな空から/西に消えていくのだろう//

小刻みに震えながら/私は目を閉じる/まぶたの裏であかあかと/燃え上がる両目/それが/水鳥の目なのか/猟師の目なのか/ちっとも判らないままに/私は私の塒(ねぐら)に目を持ち帰る//

詩誌「まひる」五号 アサの会part2 あきるの市

|

«  「野間宏の会」奥泉光さんらがシンポジウム!人間探求こそ文学 | トップページ | 文芸時評<文学6月>読売新聞・失われた10年の「前史」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



«  「野間宏の会」奥泉光さんらがシンポジウム!人間探求こそ文学 | トップページ | 文芸時評<文学6月>読売新聞・失われた10年の「前史」 »