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2009年6月16日 (火)

村上春樹さん語る… 新作「1Q84」オウム裁判が出発点

 7年ぶりに新作長編「1Q84」を発表、話題を呼んでいる作家の村上春樹氏(60)が今月上旬、読売新聞の取材に東京都内で応じ、「オウム裁判の傍聴に10年以上通い、死刑囚になった元信者の心境を想像し続けた。
 それが作品の出発点になった」などの思いを明かした。今回の小説を刊行後、村上氏がインタビューに答えたのは初めて。
 オウム事件について村上氏は、「現代社会における『倫理』とは何かという、大きな問題をわれわれに突きつけた」とし、この事件にかかわることは、犯罪の被害者と加害者という「両サイドの視点から現代の状況を洗い直すことでもあった」と語った。また、「僕らの世代が1960年代後半以降、どのような道をたどってきたか。同時代の精神史を書き残す意図もあった」と述べた。
 こうした社会的な問題意識を背景とする本作は、長い年月、互いに思い続ける30歳の男女を軸にした大胆なストーリー展開で読者を引きつけ、1巻が62万部、2巻が54万部の計116万部(15日現在)。版元の新潮社によると、購買者は30代以下が過半数を占める。
 村上氏は、「大事なのは売れる数でなく、届き方だ」と強調し、「作家の役割とは、原理主義やある種の神話性に対抗する物語を立ち上げていくことだと考えている」「インターネットで『意見』があふれ返っている時代だからこそ、『物語』は余計に力を持たなくてはならない」などと持論を述べた。1・2巻で描かれるのは「1Q84」年の半年分。続編を期待する声が早くも上がるが、「この後どうするかということは、ゆっくり考えていきたい」と答えた。
 「ノルウェイの森」などの小説が英語や中国語、ロシア語など40言語以上に翻訳されている村上氏は「今後、欧米と東アジア間の差は縮まり、文化的なやりとりは一層盛んになる」として、「僕が日本から発信できるメッセージは必ずあると思う」と力強く語った。(09年6月16日 読売新聞)

 《メモ》特にTVメディアは、いまだに霊がどうのうこうのという霊媒師や占い師の番組を垂れ流しにしてる。タバコには肺がんの予告がついていて、投資には元本保証しないこを明記する時代。ドラマには、このドラマは事実と関係のないフィクションです。としておきながら、霊の番組には「この番組には、事実を証明する証拠はありません」というクレジットがない。 オーム事件を防ぐ手段はなかったのか。教祖が空中浮揚ができると言った時に、誰かが家の2階から空中浮揚を、させていたら、あんな大勢の被害者は出なかったのではなかろうかと思う。こうした事件の素因はまだある。村上氏が放送人に理解できるように書いてくれていればもっと良かったのに。可能ならば、霊の番組に出会うとオームのテロを思い出し気持ちが悪くなって、見られないようになって欲しいものだ。

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