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2009年6月11日 (木)

著者メッセージ:『戦国奇譚 首』 伊東潤さん

 この作品は、戦国時代の関東を舞台に、当時の武士たちにとり、己の存在価値の証明でもある「首」をモチーフとした六つの短編から成っています。
 各編に描かれるのは、欲の頚木から逃れられない人間の悲喜劇です。現代と同様、戦国時代も、欲にからんだ人間模様が毎日のように繰り返されてきました。しかも、戦場では何でもありでした。どのような手を使っても、首さえ挙げれば、功名を手にできたのです。
 それは、命を賭けているかいないかの違いだけで、現代と何ら変わりありません。毎日のニュースを見れば、汚職、詐欺、贈収賄など、欲に駆られて心に魔が差し、深い穴に落ち込んでしまった人間がゴロゴロいるはずです。この作品は、戦国時代を描きながら、現代との合わせ鏡となっているのです。短編小説には必須の衝撃的結末と、欲の頚木から逃れられない人間の悲哀(文学的カタルシス)を、ぜひご堪能下さい。(伊東潤)講談社『BOOK倶楽部メール』09年6月1日号 

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