太宰治の直筆はがき発見!小説モデルの友人らに送る
今月19日に生誕100年を迎えた作家、太宰治が短編小説「散華(さんげ)」のモデルにしたとされる岩手県花巻市出身の友人、三田循司さんらにあてた直筆のはがき5通が、花巻市の三田さんの実妹宅に保存されていることが27日までに分かった。
三田さんは、東京帝大在学中から太宰と交流があり、詩人を志していたが、出征し、25歳の若さで戦死した。散華には同名の若者が登場する。
はがきのうち4通は、病気がちな三田さんの体調を気遣う内容で「青春の病い、と思えば、美しくなるじゃないか。夜のつぎには、朝が来る」「生きているあいだ苦闘すべきものと思います。苦しみが、生き甲斐だと思います」と書かれていた。残る1通は三田さんの弟にあてて、物をもらったお礼を太宰が書いたものだった。
はがきは三田さんの詩の遺稿などとともに、実妹宅の物置の段ボール箱に保管されていた。
山内祥史神戸女学院大名誉教授は「太宰と三田さんは今回の5通を含め書簡の往復があったとみられ、これらのやりとりから散華の着想を得たのでは」と指摘。「太宰は実体験と虚構を織り交ぜて小説を書いたとされ、太宰文学の研究に貴重な資料となる」と話している。(09年6月27日共同)
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