第9回本格ミステリ大賞 小説部門 牧薩次さん「完全恋愛」
第9回本格ミステリ大賞(本格ミステリ作家クラブ主催)は、小説部門が牧薩次(さつじ)さんの「完全恋愛」(マガジンハウス)、評論・研究部門は円堂都司昭(えんどう・としあき)さん(46)の「『謎』の解像度」(光文社)に決定。受賞者2人が東京都内で会見し、喜びを語った。
牧薩次は、アニメの脚本などでも知られる大ベテラン作家、辻真先さん(77)の別名。牧さんは「後ろから背を押された気持ちがする。押された先が断崖(だんがい)絶壁かもしれないが、せっかくだからもう少し頑張ってみたい」とユーモア交じりに喜びを表現した。
受賞作は昭和20年から平成へと至る日本を舞台に、恋愛小説とトリックを巧みに融合させた力作。本格ミステリ作家クラブの北村薫会長も「若いころから本格ミステリを読み続けているとまあ驚くことはないのだが、そういう身構えた読み方をさせない。身構えていないところを投げられた…という感じで新鮮だった」と絶賛した。
牧さんも「ラブストーリーとして一応完結できた。純然たるミステリーとはいえないかもしれないが、今まで書けなかったものが書けた」と手応えを感じた様子だった。
一方の円堂さんは先月発表された日本推理作家協会賞とのダブル受賞。「第1回のこの賞の候補になったことを出発点にしながら頑張ってきた。感激しています」と話した。(産経ニュース09.5.17)
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