寸編小説紹介 「スーパーマリオブラザース」来瀬 了
詩人回廊サイト・「来瀬 了の庭」のこの作品は、デリバリーゲーマーに「デリゲー」という名称をつけて登場させている。これは、なかなか良いアイデアで、現在でも将棋や囲碁の相手をする便利屋さんがいるらしいではないか。
作者の来瀬 了(どういう意味?キセ了からキセルか)は、ゲームの世界が現実の世界に侵食されることをテーマにしているようだ。文章のリズムの一貫した調子が、なかなかの味になっている。
殺人や事件というものは、現実の方にインパクトがある時代になった。マスコミの報道で満ち溢れていて、まさにゲーム的で事実は小説より奇なりである。なんでもないことが、かえって埋没する時代だ。すると、文芸の世界がそれを補うという構造もないでもない。
この作品にあるファミコンゲームをしていて亡くなった鮎川信夫は、詩人で海外ミステリー翻訳家、とくに英国のエリック・アンブラーの作品の翻訳でミステリーファンには知られているようだ。もしかしたら鮎川氏はまだスーパーマリオのゲーム機のなかで生きているのかもしれない。
とにかく日常の中の死を実感させるものがある。
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コメント
鮎川信夫論書いたことありますが、晩年の自伝的側面には詳しくなかったので、亡くなるときファミコンしている最中に亡くなったとは知りませんでしたね。
鮎川違いではないかな、なんて思いましたが・・
鮎川は戦中病気で日本に送還され助かったが、部隊は全滅したという。「南京虐殺」のうわさは耳にしていて、事件に関与した日本兵は、口封じに南方にやられてほとんど戦死してしまっているとかいう話してましたね。
「南京虐殺」あったらしいことは、当時兵隊たちの間で噂になっていた、みたいなこと鮎川はどこかに書いていたことありましたね。
私は、少しのことはあったにしても三十万人もの虐殺はなかったとは思いますが・・そのうち調べたいと思ってます。
一首献上。
明らかな証拠はないと南京の虐殺事件も慰安婦問題も
石塚邦男
投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2013年2月11日 (月) 08時02分