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2009年3月22日 (日)

 同人誌「文芸中部」80号(東海市)(1)

【「空に落ちる」名和和美】
 田舎町の実家の両親がなくなり、係累のいない女性が主人公。会社勤めをしている。仕事が多忙で、ある時、自分が空に吸い込まれ落ちていくような感覚に襲われ、倒れてしまう。そのため入院となる。その後、虫課長と彼女が称している上司が親切にアフターケアをしてくれる。妻子のある男だが、そうした交流のなかで、男女関係にもなる。
 人間の生きる上での関係にこだわったように読める。故郷や両親との関係の切断、そこでの都会生活で、周囲の風景の中に溶け込もうとする。しかし、空の落とし穴におちてしまうという現象に表現される人間関係の喪失感。そして虫課長とのちょっと風変わりな関係、日常生活とすこし違う人間関係のなかに性的な関係が表現される。孤独な人間の感覚を一種の広場恐怖症的な症状で表現している。課長との関係は恋愛なのか、それとも現代人の通常の人間関係なのか、作家的な工夫の意図がさまざまに読み取れて面白い。

【「なるほど―――。」堀井清】
 これも創作的な工夫に満ちた小説。主人公は2人称の「あなた」である。2人称小説は、フランスの前衛的小説として一部に流行したが、この小説も作者と読者が実験を体験するようなところがあって、手法的な興味を合わせて物語りを楽しめる。物語には、90歳の「あなた」が街を歩き、そこで孫の夫婦の不倫関係のなかに割り込んでゆく事件が挿入されている。ありきたりの老後の生活から離れて、高齢者生活の小説を描こうとする作者の努力は、かなり成果を挙げている。2人称にしたことで、新境地開拓の基礎になるかどうかは疑問ではある。
発行所=〒477-0032東海市加木屋町泡池11-318、三田村方、文芸中部の会。
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