« 詩の紹介  「溶けていく」 弓田弓子 | トップページ | 今週の本棚:田中優子・評 『凡才の集団は孤高の天才に勝る…』=キース・ソーヤー著 »

2009年3月25日 (水)

同人誌「文芸中部」80号(東海市)(2)

 本誌は80号記念として、「掌にのる小説」特集がある。堀江光雄編集責任者は、「あとがき」で、「『掌にのる小説』といっても、それは短い小説に見えて、相当長い屈折が要求される。私はこれを『焦燥小説』と考えている。『そらそら、燃え出している。どうするんだね』と、『掌のうち』が呼び返してくる」と、書いている。

【掌にのる小説「萩の寺」朝岡明美】
 幼いころから境内であそんでいた尼寺がある。その住職さんは、「あんじゅさん」と呼ばれ村人に親しまれたが、老いて養老院でなくなる。その後にきた尼さんは、とんでもないハネっ返りの尼さんで男出入りが絶えず荒れ寺にしてしまう。ついには村人と駆け落ちしてしまう。ところが、それ以後、寺の境内にきちんとした掃き掃除の跡できるようになる。ある日、夜に境内にいってみると、「あんじゅさん」が庭を掃いてから、すっと姿を消すのを見る。短い中に見事に物語りをまとめている。

【掌にのる小説「年金生活」井上武彦】
 かつて直木賞候補になった作品の実績のある井上氏も80歳になる。子供たちが独立し、その様子を観察しながら、小説を書いてきた意味を考える話。プロになったら良かったのか、悪かったのか、という問いかけがある。

 余談になるが、作家・伊藤桂一氏は、現在92歳である。時折、純文学雑誌に書いている。師が80歳くらいの時代に、自分が50歳代で、書くのが疲れたといったら、「まだ、そんな年で、弱音を吐くな」と叱られたものだ。師は、現在も「小説は勉強中」と宣言する。そう言われると、こちらも挑戦しなければと思ってしまう。この作品で、そんなことを思い出した。
…………………… ☆ ……………………
テレビが新聞を読み上げる時代になりました。情報ルートが単純化しすぎています。情報の多様化に参加のため「暮らしのノートPJ・ITO」ニュースサイトを起動させました。運営する団体・企業の存在感を高めるため、ホームページへのアクセスアップのためにこのサイトの「カテゴリー」スペースを掲示しませんか。文芸同志会年会費4800円、同人誌表紙写真、編集後記掲載料800円(同人雑誌のみ、個人で作品発表をしたい方は詩人回廊に発表の庭を作れます。)。企業は別途取材費が必要です。検索の事例
連携サイト穂高健一ワールド

|

« 詩の紹介  「溶けていく」 弓田弓子 | トップページ | 今週の本棚:田中優子・評 『凡才の集団は孤高の天才に勝る…』=キース・ソーヤー著 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 詩の紹介  「溶けていく」 弓田弓子 | トップページ | 今週の本棚:田中優子・評 『凡才の集団は孤高の天才に勝る…』=キース・ソーヤー著 »