文芸時評1月(週間読書人1月2日)栗原祐一郎氏
今年より栗原氏が、担当になっている。その見出しに「『文芸時評』の前提と方針」として、「時代の記録として望ましい印象批評的独断」とある。栗原氏は、1965年(昭和40年)生まれ。東京大学理科一類除籍。著書「<盗作>の文学史」「禁煙ファシズムと戦う」(共著)など、と同欄にある。理科系のひとが読む現代文芸作品の印象記で、作品を◎(傑作)、○(良い)、△(可もなく不可もない)、×(良くない)、という評価マークをつけている。
《対象作品》今回◎なし。○=佐藤友哉「デンデラ」(新潮)/金原ひとみ「ピアス」(文学界)//青来有一「夜の息子、眠りの兄弟」(文学界)/ステイシー・リクター「彼氏島」(群像・岸本佐和子)/瀬戸内寂聴「山姥」(新潮)/辻原登「虫王」(新潮)/町田康「二倍」(新潮)。▽=石原慎太郎「生死刻々」(文学界)/青山七恵「お上手」(同)/高橋たか子「空(そら・くう)」(群像)/川上弘美「aer」(新潮)/河野多恵子「その部屋」(群像)/桑井朋子「姥車」(すばる)/チェーホフ「ジーノチカ」(すばる、沼野充義新訳)。×=多和田葉子「おと・どけ・もの」(文学界)/玄侑宗久「塔」(文学界)/松浦寿輝「川」(群像)/青山七恵「欅の部屋」(すばる)/甘粕幸子「分水嶺の家」(すばる)/多和田葉子「ボルドーの義兄」。
昔、団塊の世代のオーディオブームのなかで、各メーカー製品のコストパフォーマンスのレベルを専門店に評価してもらい、◎○▽のマークをつけたものがあった。「競馬式データ」とかいった。はるか昔のことで、おぼろげなものだが、結構、トラブルのタネになったという話を耳にした記憶がある。文芸作品でこんなことをするとどうなるのだろうか、今後の成り行きが注目される。この「今後の成り行きが注目される」という「成り注」文は、結末文に困ったら、これを使うことが多い。
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