同人誌「獣神」第32号(埼玉県)(2)
【「銀次郎の日記~年金生活者の開始と読書」青江由紀夫】
筆者の青江氏は、いろいろな同人誌にこの「銀次郎の日記」という同じタイトルで、副題をそのときその時の身の上に起きた変化を伝えるものにしている。
自分もいろいろな同人誌を読むので、前に書いたことを忘れて、同じことを書いているのかもしれない。とにかく、同人誌のほとんどが面識のない未知の人の作品なので、紹介記事を書いたら、何について何を書いたか忘れてしまう。だからこそ、こうして書き残す意味があるのだが。最近の青江氏は詩歌、川柳などの創作を多く日記に入れており、文才を発揮している。童謡「鋸山のたぬきさん」もなかなか良いし、「また今日も朝陽が昇り日が暮れる 柿の葉もまた一枚落ちる 由紀夫」という歌もある。
【「流れ去る世界」阿部克則】
哲学的な思弁で、倫理について、考察している。人間は生まれながらにやって良いことと、悪いことを感情で判別する能力について触れている。具体例がないので、抽象的なところにとどまっているのが惜しい。
【小説「二人三脚のシュート」伊藤雄一郎】
「節子はボールというものが嫌いだった」ではじまる。これは彼女が、少女期に見知らぬ男から、股の間にボールを挟まれいたずらをされたことが、トラウマになっているためだ。彼女は結婚し、子供が成長して結婚、孫ができる。孫は知能の発達が遅れる障害を持つ。ある日、広場で遊ばせていると、サッカー遊戯をしていた人たちのボールが、ころがってくる。すると孫がそれを蹴り帰すと素晴らしいシュウートになる。それがきっかけで孫がサッカーでまわりの人々から認められるようになった話。
「獣神」発行所=〒359-0025埼玉県所沢市上安松1107-4、伊藤方。
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