同人誌「零文学」第6号(埼玉県)
5号と6号は雑誌の特集に「青春小説」の評論を置いている。エッセイと小説のバランスが良く、自然に頁をめくって、読みたくなるリトルマガジンのスタイルを維持している。
【「続・子包み日記」君島有純】
第5号の「子包み日記」では、妊娠2ヵ月から出産病院を探すが、どの病院でも断られ、なかなか見つからず、やっと費用の高い病院をみつけ、そこで出産するまでを描いて、日本社会の現実をリアルに浮き彫りにしている。作者は語らずとも、そこに変質しつつある社会の現状が指弾されている。政治家や官僚が少子化社会を危惧した発言をしながら、子供を産めないシステムを放置する。現実と裏腹な発言をしても、それに慣れてしまっている国民意識。
その続編で、経験のない母親が、子育ての本を読みながら育児をして、赤ん坊を初の検診に連れてゆくと、そこで誤りを指摘されるまでの苦労話。これも問題であるが、その世相を描いている。文章に、今風の言葉使いを導入しながら、文体としてまとまっているのも読みどころになっている。
【「沖縄の青春小説―大城立裕『まぼろしの祖国』から」小野里敬裕】
沖縄出身作家の小説は読んだ記憶がないが、大学時代に沖縄からやってきた同級生がいて、彼の言動から沖縄の現状を聞かされたものだった。結局、学生運動の闘士となって、自分たちの世界から遠ざかっていった。この評論を読むと、自分自身がマルクスやヘーゲルの理論を学ぶうちに、無産階級でありながら、現実の日本社会に、階級闘争が社会を変えるという道のないことを発見し、失望感を抱きながら、自分はマルクスの資本論で学んだことを、どう生かせばよいのかと、心の光の細くなっていた時代のことなどを思い出した。
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コメント
野口様。当会では、その後のことはわかりません。寄贈されたものから、紹介するだけですので。
>野口惠子さん
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>最新刊の「零文学」をご送付ください。是非読ませてください。費用のお支払方法など、ご指示をお願い致します。
>
>270-0142 千葉県流山市
>西松ヶ丘1-370-9 野口惠子
投稿: ITO | 2022年6月18日 (土) 13時35分
最新刊の「零文学」をご送付ください。是非読ませてください。費用のお支払方法など、ご指示をお願い致します。
野口惠子
投稿: 野口惠子 | 2022年6月17日 (金) 09時51分
最新刊の「アピ」をご送付ください。是非読ませてください。費用のお支払方法など、ご指示をお願い致します。
野口
投稿: 野口惠子 | 2022年6月17日 (金) 09時50分