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2008年12月12日 (金)

同人誌・文芸同人「長崎の会」第3号

今号は、「グルメ・食」小説・エッセー集である。
【「麺と俺」赤木保】
 アニメに夢中の大学2年生の「俺」は、アニメだけに関心がある生活で、もっぱら下宿で、カップめん愛用の生活を送っている。そこで突然、風邪を引いて寝込んでしまう。すると、同じサークルの影のうすい井上という女子学生が、食事の支度をしてくれると、下宿にやってくる。「俺」はアニメを愛して、女性を愛すまでには至ったってないので、彼女の心をよく理解できない状態から、やっと理解する段階までを書く。面白い。ライトノベルのスタイルの中で、いろいろ工夫して書き分けているのには感心した。文章の呼吸がよいのに驚かされる。

【「狼になれない」裏次郎】
 主人公は家電量販店の臨時雇いの店員で、仕事に夢や希望を持てないような職場に働く。そこで「正社員」にすると店長に言われる。ちょっと、うれしがっているときに、いつも店で会って、食事時に顔を合わせる女子店員が、結婚退職をすることを告げられる。そことで、つまらない勤めのなかで、彼女との会話がどれだけ貴重であったかを知る。狙いはいいし、面白いが、味わいはいかにも、ライトノベル的。話術の運びは巧い。

【「白」小林圭介】
 ホラー話。遭難して山小屋にたどり着いた男が、傷による出血死している。調べると、救助がなく飢え死にしそうになる。仕方なく、自分で自分の腿の肉を切って食べていたことがわかる。まあ、怖いけれど、いまひとつヒネリが欲しかった。
 本誌全般に読んで面白い。読者を退屈させない技術には長けている。先には純文学への道筋がありそう。

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