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2008年12月 1日 (月)

文芸同人誌「創」第3号(名古屋市)作品紹介(2)

【「神田川」安藤敏夫】
 淳一郎の妻の桐子が45歳で癌でなくなった。淳一郎には、娘がいるが、海外に出張をしていたこともあり、母親を理解していないことで、彼に批判的である。桐子の遺物を整理していると、手紙が残されていて、彼女が陶芸に打ち込んでいて、師とする陶芸作家と心の交流があったことがわかる。その交流は、娘も知っていたが、父親には言わなかったらしい。手紙の内容から、妻の陶芸の師である男は、桐子の死を知らない様子なので、淳一郎は葉書で妻の死を男に告げることにする。
 陶芸の歴史などの説明など、きっちりと几帳面に手堅く表現されている。ただ、手紙のやり取りの内容が、当事者同士はわざわざ、語らないはずのところを、読者のために不要なことを書くという物語の成り行きの説明を兼ねる手法が、違和感を呼ぶところがあった。

【「ワニブシ」大西真紀】
 米国人女性、メロディの英会話教室に通う「優」という有閑夫人の目を通して、そこに集まる人物像を描く。太平洋戦争中ボルネオで米英軍の捕虜の扱いなど、をしていた深水という男の戦争の心の傷も描く。ワニブシというのは、ワニを加工したものを、深水がメロディの持病とする膝の痛みをとる薬として30万円で売ったところからきている。優のめには、それはただの鰹節にしか見えない。その話の意味をどう解釈すればよいのか、わからない。

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