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2008年11月24日 (月)

文芸同人誌「農民文学」№283・白秋号(群馬県)

【「土の舞(6回・最終回)」木村芳夫」
 農家の長男と長女が恋愛になったら、どうするのか? という、農家にかぎらず日本社会のあちこちに起きている現象をテーマに、この恋愛小説では、恋人たちが駆け落ちをするという選択をする。その後のさまざまな出来事で、日本農業の現実を描いてきたが、今回の最終回では物語のテーマが拡散し、そのまま物語を終わらすことを急いだ様子を感じる。再度、テーマ追求の整理が必要なのではないだろうか。

【随想「『北越雪譜』を読んで」農民文学会会長・木村芳夫】
 新潟県の越後の鈴木牧之の名作について、農業を行う筆者がその資料性の貴重さと、記録性の重要性について述べ、一読をすすめている。
 じつは自分も、同人雑誌を読むうちに、なぜ日本人は、ただ書き残すためにだけに、書くのか?という、疑問をもった。そのときに、この書を読んで、いまだに新潟の神社には、当時から奉納された何十万句という俳句が残っているのを知った。そこから、日本人が昔から何かを書くことによって、ある精神的な充足感と精神安定作用があることを知っていて、無意識のうちに精神修養の手段になっていたのではないか、と考えるヒントを得た。そこには、仏教思想における、自らの道は自らの心に聴け、という思想に合致したところがある。書いているうちに、自分がどういう境遇にあるかを悟るのである。当時の日本人の識字率は世界最高レベルで、その伝統がいまにも引継がれている。

【「OUR SWEET HOME AGANO 2004―POWER OF FAITH」五十嵐俊之】
 農村に住む人の生活者の視点で、その現状がユーモラスに、シビアに表現され、優れた生活レポートになっている。農民文学にふさわしいに読めた。

その他、飯塚静治「野良の昆虫記(二)」、詩作品では、大塚史朗「野を歩む」などが、田畑の土を払った手で、原稿用紙に向かう姿を感動的に髣髴とさせる。

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