文芸同人誌論に行き着くまでに(2)
文芸情報のうち、ベストセラーなどプロの作品は新聞・TVで話題になるので、そこからセレクションすればいいが、一般民衆に浸透している文芸同人誌の動向を、記録しなければ日本全体の文芸文化の現状分析に資料不足となる。
そこで、雑誌「季刊文科」に広告を掲載している同人誌から、手がかりを得て、読んでみたいから、送って欲しいという手紙を出した。それが「季刊遠近」や「全作家協会」などを知るきっかけであった。
ほかにも、全国の幾つかの同人雑誌に同様の手紙を送り、会員にならないかと勧誘したが、郵便代がかかるわりには効果がなかった。なかには、どこの馬の骨ともわからぬ者に読んでもらっても仕方がない、という正直な返事もあった。もっともな話である。現在も文芸同人誌を紹介しているが、同人誌に関する分析は済んでおり、すでにそれらを読む必要性は感じていない。しかし、折角、郵送費をかけて送ってくれているのに、無視するのは申し訳ないという気持から継続している。また、毎年それなりに時代との関係を反映した作品も多く見受けられるので、意義はあると感じることが多い。ただ、悩みは読んでから、それを紹介文にするには時間がかかるので、遅々として進まないことである。また、「寸編小説」のジャンルを書き進める必要があり、多くの時間がとれないのが現状である。
これから、紹介予定で積んである同人誌の名を挙げると「文芸同人・長崎の会」第3号(岸知宏「味蕾の行方」)、単行本・秋田しんのすけ「龍屋の鍋」、「文芸中部」79号(濱中嘉行「老春ミステリー」)、「農民文学」(木村芳夫「土の舞」)、「創」3号(丹羽京子「タイムリミット」)などで、作品名のあるのは、読了済の分である。単行本・有森信二氏の2作も読んでいるが、作風ができあがっていて、いまさらなにか言うことがあるのだろうか、という感じである。
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