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2008年11月28日 (金)

「死の棘」島尾敏雄の日記・習作など4編発見

 「死の棘(とげ)」などで知られる作家、島尾敏雄(1917~86)の大学生時代の日記や習作の断片など4編が、昨年亡くなったミホ夫人の遺品の中から見つかった。いずれも全集未収録の原稿で、島尾文学の成り立ちを考える上で、貴重な資料だ。

 この中の1編「地行日記」は、その内容から、島尾が魚雷艇の特攻隊長になる4年前、九州帝大に入学した40年の執筆とみられる。〈何でも未完成。恋愛も完成したら退屈〉など、青春時代ならではの心境がつづられる一方、〈私には未だ死の讃美が出来ない〉と、開戦が近づく時代の空気を反映したような記述もある。この日記は原稿用紙に書かれており、鈴木直子・青山学院女子短大准教授は「自立した作品としてどこかに掲載する意図があった可能性が少なくない」と指摘。島尾は77年、日記形式の作品「日の移ろい」で谷崎賞を受賞しており、島尾文学の原型としても注目されそうだ。
 さらに「憂愁の街」「無題」の2編は、36年から3年間の長崎高商時代に、白系ロシア人と交流した体験が元になったとみられる。これら未発表原稿は、来月6日発売の「新潮」新年号に掲載される。(08年11月26日20時53分 読売新聞)

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