同人誌「日田文学」来年4月で休刊
休刊が決まった「日田文学」を手にする江川さん 日田市の同人誌「日田文学」が、来年4月発行予定の57号を最後に休刊する。投稿する作家の人数と売り上げの減少で、経費負担が増大しているためで、編集人の江川義人さん(74)(日田市竹田新町)は「日田の文化の発信者という自負があったが、残念」と話している。
日田文学は1954年、小説「銀杏物語」で芥川賞候補(55年)になった作家・岡田徳次郎さん(故人)ら19人が創刊し、小説、随筆、詩などを掲載してきた。88年から約5年間休刊したものの、江川さんら9人が93年2月に復刊し、年2回発行していた。
掲載された作品からは、約40作が文芸雑誌「文学界」の全国同人誌評で取り上げられ、文壇からの評価も高かったという。
現在は1号当たり600部(1部800円)を発行し、同市内の書店に置いているが、売り上げは最盛期の半分の30部前後にとどまっている。発行経費は同人作家で賄っており、高齢化に伴う作家の減少とともに1人当たりの負担が増えたため、休刊を決めた。
発行人の医師、河津武俊さん(69)(同市石井町)は「作家は高齢化し、創作意欲も減退していた。日田から文学の火が消えるのはつらい。いつの日か、若い人が志を引き継いでくれればうれしい」と話している。(2008年10月30日 読売新聞)
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