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2008年11月 4日 (火)

同人誌「グループ桂」(小山市)」59号に関するエピソード(1)

文芸同人誌「グループ桂」59号の合評会が11月2日に都内で開催された。 批評指導が師である伊藤桂一氏によって行われた。編集や掲載に関しては伊藤先生は関与されていない。できた作品を論評するのみである。
59号には、巻頭に伊藤桂一・特別寄稿「短唱集より」、創作・長島公栄「昭和・イセザキストリート」(350枚)、「寸編小説より」北一郎(鶴樹の筆名)「夜の一頁ほか」、創作・佐田尚子「煤色のファンタイジー」により成立している。
 
 この59号は、元来は年末近くに発行される予定であった。しかし、かつて「新日本文学」の終刊に近いころ、入賞した経歴をもつ同人の長島公栄氏が、雑誌「文学界」の同人雑誌評が9月で受付が終わるので、それに間に合わせて自作を発表したいという。それが350枚の力作だという。
 それはいいとしても、350枚が同人誌に一挙掲載となると、ほかの作品は短いものにしないと、厚くなりすぎるということになった。そこで佐田尚子氏が30枚程度の短い作品を書くという。ほかに提出する人がいないというので、鶴樹が北一郎の名前で、原稿用紙1枚から3枚未満の「寸編小説」を書こう、費用も安いし、自分なりに寸編小説というジャンルを作り上げたいので、それなら何篇か提出していいと申し出た。
 すると編集担当者たちは、「グループ桂」同人は、伊藤桂一先生の意向により、エッセイや評論、詩は掲載せず、小説作品だけで文壇に評価を問うことになっている。そんな短い断片なんて小説になるはずがない、やるなら説得性のある理由書解説を提出してからにしてほしい、と待ったがかかった。
 鶴樹・及び北の発想はよほど、ほかの同人との乖離があるらしい。要するに、鶴樹が文芸同志会で、文学の展開の場を「文学フリマ」のような自力開拓することに主眼をおいているのに、編集部では「文学界」などの同人雑誌評的な登竜門を主眼しているということなのであろう。だから、作風が異なる。
 そこで、北は作品の前に、現代における「超短編」や「極短小説」の登場して来た世相を解説し、これら傾向とまったく異なる思想で、短い小説「寸編小説」というジャンルを世に問いそれを世に広める必要性を書いて、作品を提出したのである。
 すると、編集者たちは、この断片ならなんとか掲載してもいいが、小説であると伊藤桂一師が認定するかどうかわからない、という。
 それなら、北はこれは寸編小説であると断定して、掲載し、伊藤桂一師の判断を仰ごうということになって掲載が決まった。
 そして、そのいくつかの寸編小説に、伊藤桂一師の論評を受けた。次回では、その作品と掲載と伊藤先生の論評を記すことにしよう。

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