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2008年10月26日 (日)

同人誌「文芸中部」第79号(愛知県)作品紹介(1)

【「2階のマエストロ」朝岡明美】
 12室ある共同住宅の住民である新婚の「私」の視点で、近所付き合いの様子が語られる。マエストロと称される住民が、ショパンという飼い犬を追って、自分が車にはねられて亡くなってしまう。なかなか退屈な話を軽妙な筆致で展開している。その軽妙さの背後に、日常生活のなかの無常観が表現されている。

【「縄文人が私を生きる」藤村文雄】
縄文時代の貝塚の発掘にかかわった若い女性が、タイムスリップして、縄文時代に入り込み、再び現在にもどる話。古代にはロマン的な想像力をかきたてる何かがあるようだ。

【「おもかげ」川口務】
主人公は若くして病弱な体質で、療養に適した土地である期間過ごす。そこで、通院する。転地療養が流行ったころであろう。病院で知り合った若い看護師と知り合い、プラトニックな愛が生まれる。そうした恋心よく表現したゴールズワージーの小説「りんごの木の下」に魅了され、その本をさがす物語。思春期の初恋は多くの人が書いているが、この作者の語りは、読む者の心をほのぼのとさせる。楽しく読ませる味のある表現力がある。貴重な資質ではないだろうか。天性のもので、人柄なのかもしれない。

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