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2008年10月 9日 (木)

同人誌「R&W」第5号(愛知郡)作品紹介

【「欅道」山本進】
 語り手は、自分の恋人を兄に奪われ、嫂となった女。やがて兄は、病死。語り手は嫂を我がものとする。平べったく言えば簡単であるが、男の鬱屈した暗いエロスと情念を、作者はかなり高度な文章力で、句点を多用し、読点を省略した独自の文体で陰影をつけ、強く浮き立たせることに成功している。しかも、語り手が認知症か、妄想症をもつようなニュアンスを取り込み、朦朧とした物語に作り上げている。創作意欲の横溢した挑戦的な作風に新鮮さがある。

【「グランマにあらず」斉木ユカル】】
 高齢出産した女性の子育てのなかの憂鬱を描く。公園デビューとかいうのか、やっと授かった子供を公園に遊びに連れて行っても、まわりの母親たちが若いので、コンプレックスを感じてしまい、周囲をコンプレックスでゆがめてみてしまう話。丁寧な筆致で、一部に当事者のみが抱く感情にリアリティがあるものの、小説として読むと、長すぎて単調に感じた。後半では智という子どもに障害でもでそうな陰鬱さが全体のトーンになっている。産後ウツを長く引きずってしまった母親の話に思える。ドキュメンタリー的な色彩強く、創作的要素がやや負けている感じがした。
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コメント

「R&W」同人のものです。4号も取り上げていただき
ありがとうございました。講座の皆でコピーして読みました。これからも研鑽に励みます。

投稿: kerolin | 2008年10月10日 (金) 06時59分

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