瀬戸内寂聴のケータイ小説執筆法
(毎日新聞08年9月「あしたの虹」を書いた理由= 対談 瀬戸内寂聴さん・藤原新也さん。【構成・内藤麻里子】より)
――「18歳が書いている気持ち」で原稿チェック。
「あしたの虹」がどうやって執筆されたか、その一端を紹介しよう。
瀬戸内さんは他の小説や随筆を書く時と同様、400字詰め原稿用紙に万年筆でつづっていく。
その原稿を受け取った毎日新聞は横書きで活字化。ケータイ小説を扱う記者、編集者、デジタルメディアのスタッフらで作るチームで言葉や表現について女子中高生が違和感なく読めるようにチェックする。原稿チェック時のスタンスは、「18歳の女の子が書いている気持ち」。
ここで出されたチェックポイントを瀬戸内さんが検討し、ゲラ直しを入れる。直しの入った原稿は、一つ一つの文が短くなり、語尾が「~~だって」のような口語に変わり、風景描写が削られるなど、シンプルで明快でみずみずしい文章に変わった。
完成した原稿を、ケータイ小説サイト「野いちご」に載せるために、デジタルメディアのスタッフが改行などレイアウトを整え、携帯電話にアップする。この整え方の基本方針はあらかじめ瀬戸内さんと話し合っていた。アップした原稿を瀬戸内さんが愛用のピンクのらくらくホンで読む。この作業が4カ月間続いた。
メモ=本会の主宰者も3年ほど前、あるコンテンツ会社から依頼され、やさしい経済記事を依頼されたことがある。普通はメールで送る。普通に書いたら、だいたい200文字から300文字で一回分なので、分割してほしいというので、四苦八苦して連載になった。その後、依頼してすぐ原稿ができるというのを評価されたらしく、面白いコンテンツを提出してください、というので、歴史フィクションを送信したら、面白いと社内スタッフに支持する声もありましたが、とお世辞があって、若者風でにないと、ボツになったものだった。しかし、当人は文学をケータイに送り込むことをあきらめていない。
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