ネット情報も文化財 国立国会図書館長・長尾真さん
「これだけインターネットが普及した今、ホームページの情報も文化財の一つ。収集するのは国の責務です」
国立国会図書館長の長尾真(ながおまこと)さん(71)は昨年4月の就任以来、ネット情報収集に力を入れている。
1997年から6年間、京都大学長を務め、教育界から異例の転身。「新しい時代の図書館を作りたい」と、国会図書館設立60周年の今年、目指すべき図書館像を示す「長尾ビジョン」を打ち出した。
「書籍は出版社が持ち込んでくれるが、『ケータイ小説』などの情報は、自分から集めに行かないと取得できない」
その際、問題となるのが著作権だ。ネット情報にも著作権が生じるため、現行法では、取得・保存するのに作成者の許可を得る必要がある。
現在、許可を得て取得したホームページは約2200。国内で数十万といわれるうちの一部に過ぎない。著作権上の許可を得ずに取得できるよう法改正の必要性を訴え、政治家の会合に出席して講演するなど、各方面を説得して回る日々だ。多忙な仕事の合間を縫って哲学書を好んで読む。「読み終わる前に次の面白そうな本に目がいく。恥ずかしながら、最近は最後まで読んだ本は少ない」。仕事も趣味も、「新しもの好き」だ。(文・三浦真、写真・杉本昌大)(08年9月22日 読売新聞)
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