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2008年9月30日 (火)

小泉今日子(女優)の書評・山本文緒『アカペラ』(新潮社)

―明日に期待していい?―
 撮影現場で、ヘアメイクのアシスタントをしている若い女の子に、何気なく「何年生まれ?」と尋ねたら「平成元年です」と、答えが返ってきた。年号が平成に変わったのなんか、私達にとっては昨日のことのようだが、その時に生まれた子供達がそろそろ社会に出て働く年になっているのだと驚いた。平成元年には若者だった私も、気付けば立派な中年世代になっている。
 3編の小説が収められた山本文緒さんの6年ぶりの新作は、3作品共通してダメな中年世代と、10代の少女の存在がある。
 「アカペラ」には、少し無責任な母親と、ユーモアたっぷりの祖父と3人で暮らす15歳の少女「タマコ」の、純情だけれど少し変わった恋心が。「ソリチュード」は若い頃に家出をしたダメ男が20年ぶりに実家に帰省し、昔の恋人の娘、小学6年生の「一花」との交流に複雑な思いを抱きながら、過去を振り返り、少しの希望を見いだす数日間が。「ネロリ」には、39歳無職の病弱な弟と2人で暮らす50代独身女性のひっそりとした日々の中に現れ、病弱な弟の恋人のような存在になる19歳の専門学校生「ココア」と彼らとの、深い絆(きずな)が描かれている。
 この本を読んで私は胸が熱くなった。社会の中でようやく現役感を感じる私達中年世代も、実はまだまだ不安を抱えて生きていて、上から叱(しか)られたり、下から突き上げられたりすることを心のどこかで期待しているのだ。圧倒的なエネルギーにやり込められたいような気持ちが何故(なぜ)だかある。この3編に出てくる少女達は、邪気のないエネルギーでダメな中年達を突き上げる。邪気がないから、残酷だけれど優しいし、壊れそうだけれど逞(たくま)しい。彼女達の存在がなんだか私には有り難くて感謝したくなった。
 自分を守るために、明日に期待し過ぎないように生きる中年世代にとって、明日を夢見る若さの輝きは眩(まぶ)しいけれど、大人として、その夢を守るという目標を持てるような気がするのだ。
 ◇やまもと・ふみお=1962年、神奈川県生まれ。2001年『プラナリア』で直木賞。ほかに『再婚生活』など。『アカペラ』(新潮社)¥1470 (本体¥1400+税)(08年9月29日 読売新聞)

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2008年9月29日 (月)

筒井康隆さん「ファウスト」にライトノベル「ビアンカ・オーバースタディ」の連載

 作家の筒井康隆さん(73)が、若者向けの文芸誌「ファウスト」に、初のライトノベル作品「ビアンカ・オーバースタディ」の連載を始めた。1967年の「時をかける少女」など、デビュー当時はジュブナイルと言われた若者向け作品も手がけており、発表の記者会見では、「先祖返りで原点に戻ってみた」と挑戦意図を説明。
 現代の中高生向け小説「ライトノベル」とその元祖ジュブナイルは「本質的に変わっていない」というが、生物研究部員の女子高生が禁断の実験に挑む同作は、性的なことは忌避するライトノベルの鉄則を意図的に破るなど、筒井さん的な毒の過激さに、今の若者もたじたじとなりそう。
 会見会場が東京・秋葉原のメイド喫茶だったこともあって「萌え」についても問われたが、「こういう喫茶店には来たことはないが、『萌え』に感情移入はできる」と怪気炎を上げていた。(08年9月24日 読売新聞)

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第17回山本七平賞は、高橋洋一『さらば財務省!』(講談社)に

PHP研究所の「第17回山本七平賞」は、高橋洋一著『さらば財務省!』(講談社)に決まった。

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2008年9月28日 (日)

第8回本格ミステリ大賞特別賞を受賞した島崎 博さん(75),台湾から戻って

 1975年~79年に刊行された探偵小説専門誌「幻影城」は、今や伝説化している。郷里の台湾に帰っていたその名編集長が29年ぶりに来日。功績をたたえる賞を贈られた。「まさに青天の霹靂(へきれき)。長生きして良かった」
 忘れ去られていた戦前の推理小説を再評価し、直木賞作家の泡坂妻夫、連城三紀彦や人気作家の田中芳樹、栗本薫の各氏を育てた苦労がやっと報われた。
 55年に日本へ留学し、約3万冊の古書を集め推理小説の魅力に取り付かれた。幻影城に携わったのは、「刺激的で面白い日本の推理小説を体系化したい夢があった」から。しかし同誌を守る金策のため台湾に戻った直後、政治的混乱の影響で再来日できなくなり、雑誌の命脈も絶たれた。「その後、自由が戻っても、すべて嫌になっていた」。それでも台湾で日本ミステリーの紹介に努めてきた。
 長く消息不明だったが、4年前、ファンが所在を突き止め、請われて日本の土を踏んだ。これを機に、再び「幻影城」の編集長を頼まれたら? 「資料が散逸して無理だろうけれど、はっきりいってやりたい」(文化部 佐藤憲一)(08年9月25日 読売新聞)

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高野山に司馬遼太郎さんの文学碑

除幕される司馬遼太郎さんの文学碑(24日、和歌山県高野町で)=大西健次撮影 高野山真言宗総本山・金剛峯寺(和歌山県高野町)で24日、著作「空海の風景」などを残した作家司馬遼太郎さん(1923~96)の文学碑の除幕式が行われた。
 2015年の開創1200年記念に向け、奥の院の参道入り口近くに設置した碑は、讃岐出身とされる空海にちなんで香川県産の花こう岩を使用。「高野山は日本国のさまざまな都鄙(とひ)のなかで、唯一ともいえる異域ではないか」などと情景を綴(つづ)った随筆「歴史の舞台」の文章が刻まれた。
 式では、司馬遼太郎記念館(大阪府東大阪市)の上村洋行館長が「混沌(こんとん)とした世の中で、この碑が一つの明るい道筋となってほしい」とあいさつした。(08年9月24日 読売新聞)

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2008年9月27日 (土)

瀬戸内寂聴のケータイ小説執筆法

(毎日新聞08年9月「あしたの虹」を書いた理由= 対談 瀬戸内寂聴さん・藤原新也さん。【構成・内藤麻里子】より)
――「18歳が書いている気持ち」で原稿チェック。
 「あしたの虹」がどうやって執筆されたか、その一端を紹介しよう。
 瀬戸内さんは他の小説や随筆を書く時と同様、400字詰め原稿用紙に万年筆でつづっていく。
 その原稿を受け取った毎日新聞は横書きで活字化。ケータイ小説を扱う記者、編集者、デジタルメディアのスタッフらで作るチームで言葉や表現について女子中高生が違和感なく読めるようにチェックする。原稿チェック時のスタンスは、「18歳の女の子が書いている気持ち」。
 ここで出されたチェックポイントを瀬戸内さんが検討し、ゲラ直しを入れる。直しの入った原稿は、一つ一つの文が短くなり、語尾が「~~だって」のような口語に変わり、風景描写が削られるなど、シンプルで明快でみずみずしい文章に変わった。
 完成した原稿を、ケータイ小説サイト「野いちご」に載せるために、デジタルメディアのスタッフが改行などレイアウトを整え、携帯電話にアップする。この整え方の基本方針はあらかじめ瀬戸内さんと話し合っていた。アップした原稿を瀬戸内さんが愛用のピンクのらくらくホンで読む。この作業が4カ月間続いた。

 メモ=本会の主宰者も3年ほど前、あるコンテンツ会社から依頼され、やさしい経済記事を依頼されたことがある。普通はメールで送る。普通に書いたら、だいたい200文字から300文字で一回分なので、分割してほしいというので、四苦八苦して連載になった。その後、依頼してすぐ原稿ができるというのを評価されたらしく、面白いコンテンツを提出してください、というので、歴史フィクションを送信したら、面白いと社内スタッフに支持する声もありましたが、とお世辞があって、若者風でにないと、ボツになったものだった。しかし、当人は文学をケータイに送り込むことをあきらめていない。

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荒木経惟さんに最高位勲章 オーストリア政府

 写真家の荒木経惟さん(68)がオーストリア政府から科学・芸術勲章を受けることが決まり、東京都港区のオーストリア大使公邸で26日、伝達式が行われた。
 同国の芸術分野における最高位の勲章で、日本人では初めての受章。世界的に活躍する芸術家、科学者に贈られるもので、受章者で構成する委員会により全会一致で選ばれた。荒木さんはこれまでウィーンやロンドン、パリなどで写真展を開催し、現代を代表する写真家として紹介されたほか、多くの作品集が欧米などで発売されている。 荒木さんは「こんな立派な賞だとは思わなかった。うれしい。ありがとう」と話していた。(2008年9月26日 共同)

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2008年9月26日 (金)

藤村記念歴程賞に北川透さん「中原中也論集成」

 第46回藤村記念歴程賞が25日発表され、北川透さんの「中原中也論集成」(思潮社刊)に決まった。副賞50万円。第19回歴程新鋭賞は、受賞者なしとなった。

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詩の紹介 「 七月の庭・きゅうり 1 」 羽生槙子

( 紹介者 江素瑛 )
生きていく重圧を感じた時には、人情、社会などの背負うものではなく、生きることそのものだけが尊いと感じるようなもの心が動く。自分の力を超える重荷なんか負わなくていい、休みたければ休むといい。身軽く安らぎが得られる人生の終焉も思わせるものだが、「低いところの一本なんか / もう大胆に 大地に寝ているんです」いいフレースです。
     ☆
「七月の庭・きゅうり 1」 羽生槙子
生きていく重圧に
ときどき怖くなることありません?
そういう時 庭に出ると
きゅうりが 今日は五本も
つるにぶら下がって
低いところの一本なんか
 もう大胆に 大地に寝ているんです
 その安心感といったら!

 「花・野菜詩画集」より 武蔵野書房 ―(新原詩人no.19 「この詩」に紹介)(08年8月)

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幻冬舎創業15周年で、女性誌創刊へ

創業15周年を記念して、来年3月に同社で初の女性誌を創刊する。タイトルや定価、読者ターゲットなどの詳細は10月1日、帝国ホテルで行う創刊発表会で広告関係者に向けて公表される予定。
 女性誌では読者モデルの好評で「CANCAN」が突出しているが、同様の切り札があるのか注目される。


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同人誌作品紹介「胡壺・KOKO」第7号(福岡市)(2)

【「JUST」ひわきゆりこ】
 主人公の僕は、博士論文を提出中の大学院生らしい。微生物の研究室の教授の紹介でアルバイトを引き受けさせられる。額田家という旧名家の娘で、そろって離婚歴がある。そこで僕は遺伝子に関する専門的な講義をすることになる。
 僕には、同じフロワーで別の研究室にいる華澄という女子大学院生と深い交際をしている。華澄は会社経営者の父をもち、裕福な環境にある。交際はしているが、このままでいれば、それは在学中の恋愛に終わりそうな雰囲気でもある。お互いに自分のJUSTをもとめているが故に、そうならざるを得ない、というところである。
 主人公の自分のJUSTな姿を求める視線で、描いていることにより、周囲の登場人物が、何らかのJUSTを求める存在として表現される。アルバイト先の名家バツイチ姉妹もそのような、視線の色を帯びさせることで、ひとつの風趣を作り上げている。
 文章も作中の竹林に風が吹き渡るような、風通しのよい文体で水彩画スケッチの爽やかさを持つ。作者の安定したビジョンによく筆力がついてきている。さらに、人間関係における微妙な隙間を独特の感覚で表現し得ている。
 派手ではないが、独自の表現力をもっていて、才気を感じさせるところがいくつかある。僕が教授にレストランに誘われ食事する場面の教授の描写力は抜群。読みながら「ふむふむ。いい文章の仕事をしていますね」と言いたくなる。あれこれあれこれと書きながら、キャラクターを浮き彫りにしてしまうのと、ただあれこれ書いて、それだけで終わってしまうものとの違いがここにある。それが描写力というもの。まだ埋蔵された才能があるのではないか、と将来に期待を持たせる。いわゆる自分探しの一種かもしれないが、現代の教養小説のひとつの形を示している。

【「レバー」納富泰子】
 この作者、じつに恐ろしい物語を書けるものである。もし、まだ読んでいない人に、「この小説はどんな話?」と訊かれたら、「都はるみの『着てはもらえぬセーターを、寒さこらえて編んでます。女心の未練でしょうか、の歌のように、不気味なまでに不条理な、切実な女心の物語です」と答えてしまいそうである。
 軽口は、このぐらいにして、話は夫が肝臓を悪くして、今にも死にそうな境遇になる。ところが肝臓を移植すれば、助かるかもしれないというのである。妻である私は、それを知って自分の肝臓を提供することを決心する。もちろん全部ではない。誰もそれに納得する。そりゃそうである。人間はそれほど物事を深く考えない。
 そこで死ぬ運命にあった夫は、助かって健康を取り戻す。だが、肝臓を提供した妻の方は、ひどい後遺症と苦痛に悩まされる。そこで、元気を取り戻した夫にその苦痛を訴える。しかし、苦痛を理解してくれと言われると、恩があるだけに夫は、その声を素直に受けられずに、圧迫感を受けて、妻から逃げようとする。しょうもない夫である。そして、夫は妻に手切れ金を渡して離婚してしまう。
 そこでいろいろあって、妻の肝臓をもらって生き延びた夫は、再婚する。自分の肝臓をもった夫が新しい妻と楽しく暮らす、元妻に耐えられないのは当然である。そこで、夫の家庭につきまとうしかない元妻。仕方がないとは言え、じつに恐ろしいではないか。作者はそこで、プロメテウスの神話を例に取っている。たしかに残酷な境遇である。
 おまけに、その妻がある日、妊娠してしまうのだ。元妻に、現在の妻がそれを知った夫の態度を告げるのである。すると、なんともっと恐ろしい人間の闇が、そこに生まれていたのだ。自分は、あまりにも恐ろしくて、その先を紹介できない。もう、居酒屋でヤキトリやモツ煮は注文しません。

【「帰郷」井本元義】
 戦後、まだ炭鉱が重要な産業で、その後のエネルギー事情の変化に衰退する前のころ、父を落盤事故で亡くした若者が、東京に出て独り暮らしをするところから始まり、その後の急激な社会の変化に対応して活きてきた人生を語る。その間に、ある老婆を強姦して殺害した記憶があり、晩年にその老婆が街角に立っているのを見るという幻影的な要素を取り入れている。スピードのある筆致が、この日本が未曾有は速さで変化してきたかを、今更のように感じさせる。日本人が前のめりになって、過ごしてきたことへの立証にもなっている。あらすじ的ではあるが。末尾の、自分の生きてきた人生の時間への疑問の言葉は不用のような気がする。女のところで終わっていて良いと感じた。

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2008年9月25日 (木)

このミス大賞( 第7回)に柚月裕子さん、と山下貴光さんの2作品

第7回「このミステリーがすごい!」大賞(宝島社・NECビッグローブ・メモリーテック主催)に、柚月裕子さんの『臨床真理』と山下貴光さんの『屋上ミサイル』の2作が選ばれたと発表された。賞金は各600万円。優秀賞は塔山郁さんの『毒殺魔の教室』と中村啓さんの『霊眼』(WEB読者賞も受賞)の2作。賞金は各100万円。受賞4作は宝島社から刊行予定。
 今回は全278作品の応募があり、1次選考(通過15作品)、2次選考(同5作品)を経て受賞作が決定した。選考委員の票が2つに割れたため、大賞・優秀賞ともにダブル授賞に至った。『臨床真理』は、選考委員の茶木則雄氏は「醜悪なテーマを正統派のサスペンスに仕立て上げた手腕を高く評価したい」とコメント。作者の柚月さんは「作家としてこれから何をしていくのかを常に考えながら、精一杯書き続けていきたい」と話している。
『屋上ミサイル』は、選考委員の大森望氏は「読みはじめてすぐ、今回の大賞はこれだ!と確信した。キャラと会話は抜群。文章のセンスもいい。私も屋上部に入りたい」と語り、作者の山下さんは「いろいろな人の意見に耳を傾け精進していきたい」とコメント。

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瀬戸内寂聴さん:名前を隠して初のケータイ小説

第3回日本ケータイ小説大賞授賞式で08年9月24日、文化勲章受章作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんが、86歳にしてケータイ小説に初挑戦、ケータイ小説サイトで名前を隠して書き上げたと24日、発表した。「ぱーぷる」のペンネームで、女子高生ユーリのいちずな恋を描いた「あしたの虹」。10代、20代の女性たちが等身大の物語を書き、女子中高生が読者の中心というケータイ小説に、大物作家が切り込んで、大きな注目を浴びそうだ。
 「あしたの虹」は携帯電話で読むケータイ小説サイト「野いちご」で5月に掲載スタート。今月10日に完結した。横書き、短い簡潔な文章、若者言葉など、今までの瀬戸内文学とはまるで異質の作品になっている。今年は源氏物語千年紀でもあることから、源氏の現代語訳で知られる作家らしく、主人公ユーリが恋する相手の名を「ヒカル」とするなど、源氏をモチーフにした。筆名ぱーぷるは紫式部にちなむ。恋愛だけでなく、家族のきずなが感じとれる物語になっている。
 名誉実行委員長を務めた第3回日本ケータイ小説大賞・源氏物語千年紀賞の席上で公表。毎日新聞社から24日、単行本として刊行された。
 同委員長を引き受けたことから、「だったら私も書いてみよう」と執筆を決意。「この年になると面白いことがなくなる。ケータイ小説を書くという初めての経験はとてもワクワクしました」と振り返った。【内藤麻里子】(08年9月25日、毎日新聞)

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同人誌紹介「季刊遠近」第35号(東京都)(3)

【「編集後記」(枯)】
 雑誌「文学界」の同人雑誌評が廃止されることについて、残念というか、文学精神の衰退を嘆いている。
 そういう考えもあろうが、同人誌の中から純文学作家の優れた作品を見つけようとしてきたもので、その精神と環境がそぐわなくなってしまったのは、仕方がないと思う。同人誌を文学界に送る人が減っただけで、同人誌全体が減ったわけではない。
 現在では、マニア的な同人誌マーケットでは、かなりの売上げを上げている同人誌もある。コミケの世界では、マーケットに持ち込まれた大量の人気同人誌が盗難にあうという事件まで起きている。自分は文芸研究の情報紙の取材で、その世界のある人に話を聞いたが、何部売れて、幾らの売上げがあるかは、秘密であった。税務署もその把握に目をつけはじめているという噂もある。

 それに対し、純文学では、商業的な評価の基準が明確でないため、ポイントが絞れない分、読者層が分散して一定の売りが短期間に達成できないというのが問題であろう。
 それと、近年の文芸同人誌には文学的な匂いの少ないものが多い。また人の生き方が多様化して、社会を学んで、人生の参考なるような見識というものあまり見られない。なかには作文集のようなものもある。
 実情はよく知らないが、雑誌「文学界」に寄せられる同人雑誌が社会的な関係から隔離した存在の傾向になり、雑誌の存続に役立たなくなってしまったというように、自分は見る。
 一般論としてマイナーな表現である文芸同人誌は、文学的な価値や成果と商業的な価値とを混同して、その盛衰を語ることが多い。今後の同人誌は、市場を意識しない作文集のような仲間内の会員サークル誌と、読者を意識したリトルマガジン誌とに別れ、リトルマガジンのなかから作家が生まれるような方向にむくのではないかと思う。
 書いて表現することが生きがいで、自分のために書くというのも、自分の費用でやるので一向にかまわないと思う。また、仲間内の価値感を重視してサークル組織を維持することを優先し内容を問わない、という趣味重視の方針もよい。
 その一方で、多くの人にぜひ読んでほしい。社会的な活動にしたいというのであれば、商業ベースに乗せることが近道である。本当に文芸作品に意欲を燃やすなら、ケイタイ小説が流行ればケイタイ小説に文学を盛り込んでやろうという工夫が求められる。
 多くの同人誌を読ませていただいたおかげで、文芸同志会のやるべき方向が見えてきた気がするこのごろである。

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2008年9月24日 (水)

泉鏡花「天守物語」を独り人形劇俳優の平常(たいら・じょう)が公演

神奈川県立青少年センターホール(JR桜木町徒歩10分)で、10月11日(土)、12日(日)に、「人形劇俳優・平常の世界」公演の前売りが開始された。平常は人形の製作から、演出美術まで独りでやることで注目されている。
 1981年生まれ。12歳で札幌の人形劇界にデビュー。人形劇のほかに、日本舞踊、パントマイム、ダンス、人間劇への参加など幅広く活動。01年に上京。大人のための人形劇から赤ちゃんのための人形劇まで、国内外で活躍。04年、大人の観客限定で上演した「毛皮のマリー」(寺田修司原作)が全国人形劇大賞を受賞。07年以降、欧米でも公演を実施する。
神奈川芸術文化財団・神奈川県主催。

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同人誌作品紹介「季刊遠近」第35号(東京都)(2)

【「暮れ時の客」藤野秀樹】
 暮れ時の客というのは、亡くなったハル叔母がユーレイで、なって訪問してきたことなのである。庶民の思い出や過去の生活ぶりは、普通に書くと退屈で、年寄りの苦労話になってしまうのだが、このような設定をしたことで、作者の筆はのびのびとした表現力を発揮する。ハル叔母が語り手の故郷である広島の叔父(ハルの夫)を話題にしたので、電話をかけてみるとハル叔母が、向こうにも訪れているという。そこで、母親が病気で入院するところだと知って、慌てて駆けつける。そのほか味のある設定が活きていて、普通の人の暮らしを面白く感じるように描く。この作者の個性は、すでに固まっているようなイメージを持っていたが、構成の工夫で軽快な人情話として、別のタイプの才気を引き出した事例に感じられ、興味深かった。

【「くたばれ忠臣蔵」逆井三三】
 忠臣蔵の大石内蔵助を、作者の独自の視点で描いて、成功している。語り口が現代的講談のような自然体であるのが効果的で、説得力をもって最後まで緩みがない。市販されている作家の本も多いが、いずれも長いのが欠点といえば欠点。短編では芥川龍之介のものより面白く、自分にはそれを超えているように思える。あの忠臣蔵の物語は「本当はこうだったのだよ」といって若者に読ませてみたいようなまとめ振りである。

【「幻想交響曲-あるサラリーマンの生涯の挿話」安西昌原】
 参考文献にゲーテの「悲劇ファースト」が上げられていて、その手法を取り入れて面白い読み物となっている。身辺雑記に近い人間関係をこうした古典的な作品と照応させることで、浮き彫りにして強い表現力をもたせている。章を別にして幻想世界と現実的なリアルなサラリーマンとを対比させているのは、こうしたまとめ方であれば成功している。ただ、提示されたテーマに突っ込み浅いので、大衆小説と古典的ロマンとの併合のようになっている。

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2008年9月23日 (火)

ネット情報も文化財 国立国会図書館長・長尾真さん

 「これだけインターネットが普及した今、ホームページの情報も文化財の一つ。収集するのは国の責務です」
 国立国会図書館長の長尾真(ながおまこと)さん(71)は昨年4月の就任以来、ネット情報収集に力を入れている。
 1997年から6年間、京都大学長を務め、教育界から異例の転身。「新しい時代の図書館を作りたい」と、国会図書館設立60周年の今年、目指すべき図書館像を示す「長尾ビジョン」を打ち出した。
 「書籍は出版社が持ち込んでくれるが、『ケータイ小説』などの情報は、自分から集めに行かないと取得できない」
 その際、問題となるのが著作権だ。ネット情報にも著作権が生じるため、現行法では、取得・保存するのに作成者の許可を得る必要がある。
 現在、許可を得て取得したホームページは約2200。国内で数十万といわれるうちの一部に過ぎない。著作権上の許可を得ずに取得できるよう法改正の必要性を訴え、政治家の会合に出席して講演するなど、各方面を説得して回る日々だ。多忙な仕事の合間を縫って哲学書を好んで読む。「読み終わる前に次の面白そうな本に目がいく。恥ずかしながら、最近は最後まで読んだ本は少ない」。仕事も趣味も、「新しもの好き」だ。(文・三浦真、写真・杉本昌大)(08年9月22日 読売新聞)

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壊れたものいろいろ

 パソコンがスイッチをいれると、かりかり、こりこりと音をたて、いまでたってもウイドーズマークだけ作動、終了させってもかりかりこりこりと、なかなかおわることがない。
 その合間に普通に動くことがあるので、その隙にブログを書いていた。そんなことをしてるうちに原因不明の風邪様症状がはじまり、寝汗、頭痛、倦怠感でダウン。
 世界経済、日本の政治と一緒にみんな壊れた。
 自民党総裁選は、石波元防衛庁長官の論が一番切実だったような気がする。自民党は民主党の政策を財源を示さず無責任と批判していたが、いまは民主党の政策そのものになってしまったから、政権交代は必要ないのかな。 
 アメリカ経済の破綻は、回復に時間がかかるというが、それだけではない。バブル崩壊は、ゼロからのやり直しとは異なる。バブルで出来たインフラはゼロにはならない。アジアや中近東にそのシステムとインフラが残るので、その地域で独自の経済活動がはじまる。アメリカ経済が回復に時間をかけている内に、世界経済から取り残されるであろう。ドルは世界通貨の道具にすぎない。アメリカは戦争のしすぎだ。消費するfだけで生産なければ破産するにきまっている。

パソコンはつい動かなくなった。ハードディスクの軸が折れたのでは、とか友人がいう。データーはすべて消えた。復活の手段なし。ハードデスク交換でやっと再開。書きかけ原稿やメールアドレスもすべて消えたが、必要なものは思い出しながら修復してるが、バカボン化した頭にはかなりの負担。メール連絡は、来た人にだけ連絡返信ができる状態。体調が回復してから考えよう。

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2008年9月22日 (月)

詩の紹介   「 集団の夕暮れ 」  作者 栗和 実

( 紹介者 江素瑛 )
個人の個性を殺すことは集団の性格である。郷に入って郷に従う人間の性格もまた、集団に逆らうことない。早かれ遅かれ、個性は同化され、集団の特殊な慣わしに見習わせる。その性格をよく利用して、人々を集団化する政治団体など、詐欺師の暗躍する余地が生まれる。
           ☆

【集団の夕暮れ】   栗和 実
狸でも 猫でもいい/ 何かし出かそうとする/ すると/ よこしまな猿としよう/ 姿を現す 集団化する ボスが発生する

はじめは 目的も 目標もある/ しかしまもなくそれらはつぶれて/ 美しい入日のように眼をくらまし/ 集団は変化してゆく

実行は単なるお祭りになり/ 本義を取り間違えて見せつける/ 何かしようとした事の/ 本来は無雑作に旋回してしまう/ この田舎に住む者達の特異性にすがり/ 風の動くままになってしもう

狸たち 猫たち 猿たち/ 日がたち 時がたち/ いつの間にか 影もそうなる

田舎の 人間達の/ 女たち のあいそ笑いのように/ すっかり 皆だまされている

と気づいてののどのかわき/ りっぱな口内炎になっている/ 個性も 野生も/ 集団化すると衆愚に埋没

煙のように エゴイズムの余りは/ 本物になり盛大に成長し/ 天の方にのぼるばかりだ
                 
  岩礁 (三島市)136号より(08 9 1)

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星新一氏作品に似ると二女が抗議、コミック「イキガミ」

 今月末に公開される同名映画の原作コミック「イキガミ」(間瀬元朗作)の内容が、星新一の短編小説「生活維持省」に似ているとして、星氏の二女、マリナさんが出版元の小学館に抗議していたことが、19日分かった。
 「イキガミ」は、生命の価値を認識させるため、国が一定の確率で若者の命を奪う法律があるという設定で、24時間後に死亡するという死亡予告証「逝紙(いきがみ)」を届ける若手公務員と、残る時間を生きる人々の姿を描く。「生活維持省」は、人口を抑制するため、機械で無作為に選ばれた住民の命を公務員が奪うというストーリー。
 星さんは「星新一公式サイト」で、4月から小学館に抗議してきた経緯などを説明する一方、小学館の「作品化の過程で、星先生の『生活維持省』を参考にした、もしくは依拠した事実は一切ありません」という見解を同時に掲載。星さんは「納得できていない」としながらも今後抗議はしない意向も示した。(08年9月19日 読売新聞)

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2008年9月21日 (日)

今年上期の芥川賞候補・磯崎憲一郎さん(43)目指すのは「自分」など超越した世界

 <日本に帰るまえに、どうにかしてアメリカの女と寝ておかなければならない。>
 今年上期の芥川賞候補になった「眼と太陽」は書き出しから読者を引き込み、一文一文を味わう楽しさに満ちた意欲作だ。
 「芸術には無条件にこの世界を肯定したいと思わせる力がある」と感じ、会社員生活のかたわら、数年前から小説を書き始めた。中高生時代にはロックにはまり、大学から30歳ごろまで打ち込んだのはボート競技。最初の一文を書くまでに時間をかけ、「初速の推進力」で「こうとしか書けない文章」を追求する。
 12歳、8歳の娘と一緒に見た宮崎駿監督のアニメ「崖の上のポニョ」の中で、波の上をポニョが走るのを見た人々が「助けなきゃ」とは思っても、誰も「おかしい」と思わない場面が印象に残ったという。「小説と同じ。ありえないことが文章になったとき、現実の方が小説に引っ張られる、そういうものを書きたい」
 目指すのは「自分」など超越した世界の美しさを小説で表現すること。だから、「自意識の小説だけは書かない」。きっぱり言い放つ。(金巻有美)(08年9月16日 読売新聞)

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同人誌作品紹介「胡壺・KOKO」第7号(福岡市)

【「鍵(キー)」桑村勝士】
 切れ味の良い、印象に残る短編である。主人の「ぼく」は、釣を好む。かなりの趣味人である。宮崎県のX谷の渓谷につりに行く。険しい山道で崖を登攀するようなところもあるらしい。そのなかで車のキーを失くしてしまう。それを運よく拾ってくれた地元に住む男がいる。その拾い主もかなりの釣好きと思われる。
 それが縁で釣の話になる。すると拾い主の男から、秘密の釣り場の存在を暗示する話を聞く。ぼくは、その暗示に心を動かされて、男の語った道筋をたどって秘密の釣り場に向かう。男の暗示を頼りに険しい道を登攀するが、その途中に下の大きな淵に、車のキーを落としてしまう。キーには浮きがつけてあるので、淵に浮いているのが見える。とてもそれを拾い上げられる状況にない。すると「そいつ」が現れて、キーを飲み込むのをみる。そこで、終わる。
 人間には、「そいつ」を釣ってみようと思う者と興味を持たない無関心な者がいる。それをテーマに短編小説としてうまくまとめているのに驚かされた。キーの拾い主の男が少ない文字数で、妙な深みをもって活きている。欲を言えば、ぼくのなかに「そいつ」と出会わざるを得ない人間的宿命感が薄い。登攀する山との対話的な描写でそれが表現できそうなきがしたが、それは読者の勝手な要望でしかない。

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同人誌作品紹介「季刊遠近」第35号(東京都)

【「坂の町の家族」難波田節子】
 イギリス人のマイケルと結婚し、英国郊外に住む百合の生活のなかから、手際よくイギリス社会の一端を浮き彫りにする。シリーズ物のようだ。百合を「英語の下手な黄色い女」と、地の文で表現して、英国人の日本人への微妙な感情をうまく掬い取っているのはさすが。性同一性障害の問題でも、それぞれの信仰心のあり方を議論するなど、英国社会を描いて巧み。ある老人の死を題材にしみじみとした物語にまとめられている。

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同人誌作品紹介「孤帆」第13号(小金井市)

【「不在のかたち」北村順子】
 より子という女性から見た図書館勤めの職場風景なので、地方公務員なのであろう。エルンスト・バルラハの展示会の話から、職場の人、まだあったことのない兄など、あれこれと書いてあるが、エピソードそのものが、何かの粗筋的。どこに問題意識があるのか、何にこだわりがあるのかエピソードの中の脈絡を読みとることができなかった。独り言を記録したようなところがある。書き手には、癒しになることは間違いないが、読者には、なんでも差異なくこだわるというのは、こだわりのないのと同じ読めてしまう。強いていえば、こだわることへの自意識の不在を感じさせることが狙いなのか。

【「あしたへ」淘山竜子】
 由子という独身女性の都会での独り暮らしを描く。職場の様子が具体的に描写されているのが、話を分かりやすくしている。離婚した母親の再婚相手の連れ子の義弟との関係と忘れられない恋愛感情を描く。母親への愛憎の微妙な感情も描かれる。いわゆる血縁の家族構成と血縁のない家族を構成させることで、肉親愛と他者愛への落差を意図したもののようだ。

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小説家になるには?人生案内

小説家になるには・・・「人生案内」

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2008年9月20日 (土)

小出版社の挑戦(3)無明舎出版代表・安倍甲さん、秋田に生きる強み

(川村律文)(08年9月18日 読売新聞)
秋田市郊外の住宅街に、ニホンカモシカのマークを掲げた事務所がある。地元の秋田を中心に、東北の歴史や文化を発信し続けている地方出版社だ。
 
前身となる「無明舎」を起業したのは、秋田大学在学中の1972年。古本屋や学習塾、アングラ演劇の企画、プロモーションまで何でもやる中で、出版関係者と人脈ができた。そして76年、秋田の門付け芸人のことを「あんばい こう」名義で書いた「中島のてっちゃ」の出版を機に、「無明舎出版」として出版業に専念するようになった。
 カモシカの生態を追った本、地元出身のフォークシンガーの対談集……。頭の中にあったアイデアを、次々と本にしていった。「故郷の秋田で出版活動をして、生きていこうと思っていた。一番強みを持っている、自分だけが持っているテーマでやりたい」。流通のハンデを抱える地方にあって、逆に利点を最大限に生かした本を出し続けた。
 徐々に幅を広げ、北前船やブラジル移民についての本も出した。江戸時代後期の文人・菅江真澄をテーマにしたものなど、社で企画して本を出すことも多く、現在は、明治初期の女性旅行家・イザベラ・バードに関するプロジェクトが進行中だ。10月刊行の杉江由次著「『本の雑誌』炎の営業日誌」も東北とは直接関係ない本だが、「出会いがある中で、イメージが膨らんでいく。秋田や東北の本をベースにしながら、いい意味で逸脱していく」。
 出版界を取り巻く状況の厳しさは、地方にいて人一倍感じている。かつては大手出版社が扱ったような良書の企画が回ってくることもあり、うれしい反面、「読者も、編集者も、活字に対する誇りがなくなっている」とも感じる。「自分は70、80になっても本を出し続けたいと思うが、次の世代にバトンタッチする環境ではない。絵描きや音楽家と同じように、表現者として力尽きれば消えていく」。出版の中心地・東京から離れて眺めている分、出版界に対する見方は冷静そのものだ。
 それでも本を出し続けるのは、「この次に出す本が一番面白い」という信念が、若いころから変わらないからだ。最近は若い書き手と仕事をして、刺激を受けることも多い。「フレッシュな本にするために、自分の固定観念をどう壊すか。固くなった頭を揉(も)んでもらっています」と笑顔で語った。

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2008年9月19日 (金)

小出版社の挑戦(1)トランスビュー社長・中嶋廣さん

trans(通す)view(見る)」。一見、英語風の社名は「見えないところまで見通す」という意味を込めた造語だ。その社名と同じように、独自の出版活動を展開、出版界に新たな潮流を起こしている。

 筑摩書房で編集者としてのキャリアをスタートし、9年後に法蔵館に入社。雑誌「季刊仏教」の担当として、森岡正博、養老孟司、池田晶子ら、仏教関係者以外の人々を登場させ、交流を深めた。しかし、老舗の出版社で働く中で、仕事に限界を感じるようになった。
 14年間勤めた同社を辞め、仲間2人と会社を作ったのは47歳の春。「本作りに必要ないものはゼロでいい」。東京・中央区のビルの狭い一室で、小さな会社は産声を上げた。
 特徴は、その流通システムだ。通常の書籍は、出版社から大手の取次会社を通じて書店に出回る。出版社が配本や営業のコストを削減するためだ。しかし、共同代表の工藤秀之さんが提案したのは、取次を通さずに、直接書店と取引する方法だった。注文を受けることで無駄な返品のリスクは減り、取次を通さないことで書店の利益も大きい。出版社と書店の信用によって成り立つこの方法に当初は驚いたが、導入に迷いはなかった。「従来のやり方では、出版社として成り立たないことはわかっていた」
 新方式の効果は、すぐに表れた。創業当時から返品は少なく、出版界全体の返品率が4割近い現在でも、返品率は約7%にとどまる。そして、この方式をとったことで、取次会社への納期を気にせずに、納得いくまで本作りを追求できるようになった。その中から生まれた池田晶子著「14歳からの哲学」は、35万部のベストセラーになった。
 10月には、小島毅著「父が子に語る日本史」の刊行を予定している。教科書の歴史の背後にある日本人の歴史観を、平易な言葉で問い直した意欲作だ。「100万冊売れたベストセラーであっても、買う人には1冊の本。読者にとって価値のある本を出していきたい」(川村律文)(08年9月16日 読売新聞)

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現代詩花椿賞に奥田春美さんの「かめれおんの時間」

 第26回現代詩花椿賞(資生堂主催)は奥田春美さん(63)の詩集「かめれおんの時間」(思潮社)に決まった。副賞100万円。

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2008年9月18日 (木)

「カラマーゾフの兄弟」100万部突破! 亀山郁夫版

 光文社は13日、古典新訳文庫として刊行している亀山郁夫氏訳のドストエフスキー作「カラマーゾフの兄弟」が、全5巻合わせて100万部を突破したと発表した。古典文学としては、異例の売れ行きという。同書は2006年9月に発売を始めた。好色で金に汚い父親の殺害事件を巡る3兄弟の言動を通し、神、死、人間の罪などの問題を描いた19世紀ロシア文学を代表する長編だ。亀山氏は東京外大学長。新訳は対話形式で進む原語の勢いを生かした軽快さが特徴で、先行訳と比べ、読みやすく理解しやすいと評価されている。昨今の古典作品の新訳ブームのきっかけともなった。(08年9月13日 読売新聞)

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ビジネス関係書が好調ーダイヤモンド社の書籍部門が大幅増収

 ダイヤモンド社・特約店会が 9月16日開催のダイヤモンド・パートナーズクラブ総会で2007年度(07.4.1~08.3.31)の実績が発表された。書籍は前年比16%増で過去最高の売上げに。雑誌も同3%増で売上高は134億円となり、同7.2%増と大幅増収となった。会員85法人の売上げシェアも81.7%と伸長した。08年度も同9%増と好調に推移しているという。



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2008年9月14日 (日)

同人雑誌評『文学界』08年10月号松本道介氏

《対象作品》「風にのって」塚越淑行(「まくた」260号/横浜市)、「虚飾」豊田一郎(「孤愁」4号/横浜市)、「藤棚」後藤みな子、回想「燭台・常夏・下関(後篇)」吉田静代(以上「燭台」4号/下関市)、「それぞれの闘い(亀戸天神うらの少年 9)」岡山和男(「七十代」17号/東京都)、「海老カツバーガー」田中純子、「鳥雲に」坂本美智子(以上「森林鉄道」24号/函館市)、「冬のゆりかご」北原深雪(「じゅん文学」56号/名古屋市)、「チョコレート」津木林洋(「せる」78号/東大阪市)、「ミゼット」吉田典子(「サボテン通り」8号/函館市)、「富蔵の骨」出岡絢巳(「文学SOS」5号/鈴鹿市)、「如去(にょこ)」しん・りゅうう(「山形文学」95集/山形市)、「冬の蜂」藤山伸子(「飃」78号/宇部市)、「離別の譜」市尾卓、「ブラックホール」中里秋光(以上「季節風」106号/国分寺市)、「小川国夫と故郷」岩崎豊市(「燔」15号/焼津市)。ベスト5=「ミゼット」吉田典子、「富蔵の骨」出岡絢巳、「冬のゆりかご」北原深雪、「海老カツバーガー」田中純子、「藤棚」後藤みな子 。(「文芸同人誌案内」掲示板よこいさんまとめ)

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2008年9月13日 (土)

文芸社「A型自分の説明書」がミリオンセラーに

 文芸社「A型自分の説明書」が9月10日に5万部の増刷(18刷)で累計103万部に。17日にはさらに5万部の増刷出来となる。同書は現在135万部を発行する「B型自分の説明書」の続編として今年4月に初版3万部で発売。6月発売の「AB型-」は75万部、8月1日発売の「O型-」は90万部。

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詩の紹介 「栄光の軌跡」   作詞・北一郎

(紹介者 江素瑛)
 フォルモサとは、ヨーロッパ人宣教師が、台湾を発見した時につけた名称である。大変に美麗なという意味がこめられている。在日台湾医師のグループは毎年親睦のために合同音楽会を開いている。台湾人の足跡、台湾人の根源を追う歌である。それら台湾人は、昔、中国大陸から台湾へ移住、政治要因で多くの医師が日本へ渡った。
 当時の日本の各地域では、過疎地に無医村が多くあった。日本人医師が行かない無医村に多くの台湾人医師が赴任を引き受けた。地域農民から感謝をされた。わが村に医者がやってくると喜び、地元の新聞の記事が残っている。知られざる日本民衆への貢献があった。その親より医学教育を受け、その二代目、三代目及び生まれつつ四代目は、日本全土のどこかで活躍している。
蝶々が荒波の海峡を渡る軌跡は、正しく台湾人の芯の強さを表している。
           ☆
「栄光の軌跡」   北一郎
1
耳を澄ませば
麗しフォルモサの
風の吐息 樹のそよぎ
かなでるメロディよ 歌声よ
蒼き海原 白い波
久遠の調べが響きわたるよ
おお 栄光の我らが調べ
  2
耳を澄ませば
蝶々も渡る海峡の
遥かに響く 黒潮の
かなでるメロディよ 歌声よ
東洋の富士の白峰 桜花
友好の心が響きあうよ
おお 栄光の我らが調べ
  3
耳を澄ませば
美しきフォルモサの
風の吐息 樹のそよぎ
かなでるメロディよ 歌声よ
南の島の調べは 幾星霜
苦難を超えて響きわたるよ
おお 栄光の我らが調べ

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2008年9月 7日 (日)

文芸同人誌評「週刊 読書人」08年9月12日・白川正芳氏

《対象作品》「ノンフィクション 晴れ着」久高明子(「文芸広場」八月号)、「ラッキー」平沢ゆうこ(「文藝岩手」47号)、「カフカ『変身』想」吉貝甚蔵(「季刊午前」38号)、「中原中也生誕百年によせて」福田百合子(「文芸山口」二七九号)、「男の顔について」岡本信也(「象」61号)、「文学・ぷらぷら」庄司肇(「文学街」九月号)。(「文芸同人誌案内」掲示板・よこいさんまとめ)

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2008年9月 6日 (土)

「叙情と闘争」辻井喬・堤清二回顧録―33―

読売新聞9月6日付けの今号は、ソビエトロシアの1978年時代に、ロシアの芸術展を西武美術館で開催するために、堤清二がエルミタージュ美術館を訪れる。そのなかで、ソビエトの国民の体制側にたいする面従腹背の姿勢を感じる。
そのなかに、辻井喬の「異邦人」という詩のフレーズが織り込まれている。

 ふと 方向を見定めるために
 獣は項(うなじ)をあげる
 僕はそんな時
 夕陽の差す階段に躅(しゃが)んで
 仮面と
  仮面との間におちた
 僕の顔を探している


 当時から堤氏宅には、公安の見張りがついていた話も出てくる。多額納税者と公務員という取り合わせに、おもわず笑いそうになる。この連載には、こうした真面目な風でいて、どこか風刺的な、狂言回しを演じている視線と手法がある。

前回のこの連載の紹介では、三島由紀夫の自死と、よど号乗っ取り事件を記したので、それよりさかのぼると何があったかを見てみよう。

 さらに時間をさかのぼる。この前年の昭和四十四年一月十八日。東大全共闘学生五百余人は全国の反代々木系学生五百余人の支援で安田講堂、工学部列品館、法文三号館、医学部中央館に立て籠もった。加藤一郎学長代行の要請で出動した警察隊に三十時間に渡って火炎びん、劇薬などで抵抗したが、六百三十三人を検挙して封鎖を解除した。また、これと同時に東大から神田にかけて同派の学生が神田カルチェラタンなど東大支援街頭行動を行い百三十四人が検挙された。

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2008年9月 5日 (金)

第32回「すばる文学賞」は天埜裕文さんに決まる

 集英社は第32回「すばる文学賞を天埜裕文氏「灰色猫のフィルム」に決定。花巻かおり氏「赤い傘」を佳作に決めた。応募総数は2029編だった。発表は10月6日発売の「すばる11月号」で行う。

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ドゥマゴ文学賞(第18回)に「中原昌也作業日誌2004→2007」

 第18回「Bunkamura ドゥマゴ文学賞」(主催・東急文化村)は3日、中原昌也さん(38)の「中原昌也作業日誌 2004→2007」(boid)に決まった。副賞100万円。今年の選考委員は、作家の高橋源一郎さん。

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女性月刊誌の「BOAO」と「GRACE」も休刊へ

 女性月刊誌の「BOAO」(マガジンハウス)、「GRACE」(世界文化社)が休刊することが2日、わかった。いずれも11月発売の12月号で休刊する。
 「BOAO」は2004年9月創刊の女性誌で、発行部数約7万部(日本雑誌協会「マガジンデータ」)。「GRACE」は07年3月創刊の40代女性向けのライフスタイル提案誌で、発行部数は約8万部(同)。世界文化社では来年秋の再刊を目指している。(08年9月2日読売新聞)

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2008年9月 4日 (木)

本を読まない傾向のなかで、文芸書はよけいに読まれないのでは

もともと文学書を読む層はそれほど多くないのではないのかな。
30代以上は本を読まない傾向に

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文芸時評8月(毎日新聞8月27日)川村湊氏

《対象作品》楊逸「金魚生活」(「文学界」)/青木淳悟「このあいだ東京でね」(「新潮」)/桜井鈴茂「転轍機」(「群像」)/松本智子「ちんちんかもかも」(同)。

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朔太郎賞に鈴木志郎康さん

 優れた現代詩集に贈られる第16回萩原朔太郎賞(前橋市など主催)の選考が2日行われ、東京都渋谷区の鈴木志郎康(しろうやす)さん(73)の「声の生地」(発行元・書肆山田)に決まった。贈呈式は11月1日、前橋市の前橋文学館で行われ、賞金100万円が贈られる。


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文芸時評8月(東京新聞8月27日)沼野充義氏

《対象作品》水村早苗「日本語が亡びるとき」(「新潮」)/楊逸「金魚生活」(「文学界」)/青木淳悟「このあいだ東京でね」(「新潮」)/深津望「壁の向こうの彼女」(「群像」)/木村紅美「ハワイアンブルース」(「すばる」)。

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2008年9月 3日 (水)

詩の紹介  「存在」 小林 妙子

(紹介者 江素瑛)
「存在とはこのようなものだ 証拠が残されること」抜歯の跡で存在を確かめた作品です。人間とは、形態のあるもの。その映像や、声の録音などは、たとえそこに居なくても人間の実在が感じる。形態のないものは、いかなる努力しても、物としての跡は残らない。愛情や憎悪、過去の形態のない「存在」は、どうしたら証明できるのか、不思議といえば不思議。
        ☆
「存在」   小林 妙子
呼ばれたので/ドアを押した
少し奥まって/すぐ 行き止まりになる/診療室
麻酔の注射はちょっと/痛かったけれど/先生の技術はたいしたものだ
「おわりました」/舌の先で触ってみると/あったものが/確かにない
どかした という感じで/深い穴があいている/歯が一本/数分にして消えてしまっていた
ああそれでわかった/存在とはこのようなものだ/証拠が 残されること
仰向きに座る椅子が/考えごとをするのに/ちょうど良い傾斜だ

「地下水」188号より   横浜詩好会(08年6月 横浜市港南区)

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2008年9月 2日 (火)

雑誌「中部ぺん」第15号・座談会「日本の戦後文学の再検討」の意味するもの

中部ペンクラブ発行の雑誌「中部ぺん」には、座談会「日本の戦後文学の再検討」が連載され今回で15回目になる。
今号の、対象作品は、椎名麟三「永遠なる序章」、安岡章太郎「遁走」「海辺の光景」、梅崎春生「幻化」。
出席者は、秋野信子(多気文学)、伊藤益臣(個人会員)、桐生久(矢作川)、
久野治(胞山)、高田杜康(北斗)、野々山久夫(文芸シャトル)、堀井清(文芸中部)、水岩瞳(個人会員)、紫圭子(宇宙詩人)。
コーディネータは、国司通(顧問)、堀内守(個人会員)。司会者は、駒瀬銑吾(宇宙詩人)。
この座談会は、出席者各人の多角的な視点と感受性による指摘が、豊富に開陳されている。プロの評論家が独りで、論評するよりも、明らかに多彩な意見と指摘があって、毎回非常に充実している。
戦後文学は、戦争が個人個人に与える不幸を描き、その根底に戦争否定の思想が据えられているものが多い。
ベトナム戦争の後、9・11をはさんでアフガン戦争とイラクとの2度の湾岸戦争は、歴史というより同じ時空の出来事として考えることができる。そしてグルジアの沿岸ではロシアとアメリカの軍艦がにらみ合いをしているのが現在である。
日本はアフガン戦争に自衛隊を派遣している。給油だけという名目で。戦争の最多の仕掛け国のアメリカは、常に防衛のために戦争をしていると主張している。歴史的に戦争をするのに、自衛のためと称さないことがあったのか。
  すでに「戦争」という言葉の意味性さえ変わってしまった現代において、戦争を徹底的に人道的な人間の「悪徳」と心の芯から問い詰めてゆく、文学者の発言は、もう世界のなかで、日本の文学雑誌「中部ぺん」だけとなってしまっている、というのは私だけの妄想であろうか。

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ブックオフが新刊書店運営会社を買収へ

ブックオフはヤオコー子会社で「TSUTAYA」22店舗などを運営する㈱ワイシーシー(本社=埼玉・川越)の全株式を9月30日付で取得、100%出資の子会社とする。同社初のM&A。ワイシーシーの平成20年3月期売上高は88億8600万円、このうち新刊書籍の売上高は33億8200万円。
ブックオフコーポレーションでは「1年前に先方から依頼を受け協議してきた。店舗網の拡大と新刊販売のノウハウを本体の古書事業に活かすことが目的だが、今後、M&Aや新刊書の取扱いを拡大する考えはない」としている。

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2008年9月 1日 (月)

講談社が創業100周年で「書き下ろし100冊」発刊

講談社は今年11月から2年にわたり、文芸、児童、ノンフィクション、学芸分野で「100周年記念」の書き下ろし作を発表。また、五木寛之著「親鸞」刊行に向け、9月1日から連載がスタート。全国25新聞社に配信していく。

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同人誌時評「図書新聞」08年9月6日たかとう匡子氏

《対象作品》特集「言葉と声」、「言葉と声―音声芸術としての朗読」星義博(以上「日本未来派」217号/東京都)、特集「詩人・杉山平一」、「綿密と爆音」八木憲爾(以上「ぜぴゅろす」3号/北杜市)、特集「太宰治と三島由紀夫」、「太宰治・罰せられるものとしての自己―『俗天使』から『斜陽』『人間失格』まで―」野口存彌(以上「群系」21号/東京都)、特集『朱鞘』(「明治大正俳句雑誌レポート」3号/平塚市)、「鏡」松川元恵(「サボテン通り」8号/函館市)、「鳥の言葉」山浦敦子(「扉」11号/佐賀市)、「夏の河」田中庸介(「ミて」103号/東京都)、「視線」蛇石孝郎(「レーベ」19号/狭山市)

  いつ掲載になるのか、よくわからなかった「同人誌時評」ですが、「同人雑誌評」終了が決まって以来でしょうか、絶え間なく掲載されていますね。「図書新聞」、眼が離せません。ただし、「同人誌時評」は詩歌や評論にも目配りが行き届いているため、今回も小説は「鏡」1篇のみです。(「文芸同人誌案内」掲示板・よこいさんまとめ)

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