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2008年9月21日 (日)

今年上期の芥川賞候補・磯崎憲一郎さん(43)目指すのは「自分」など超越した世界

 <日本に帰るまえに、どうにかしてアメリカの女と寝ておかなければならない。>
 今年上期の芥川賞候補になった「眼と太陽」は書き出しから読者を引き込み、一文一文を味わう楽しさに満ちた意欲作だ。
 「芸術には無条件にこの世界を肯定したいと思わせる力がある」と感じ、会社員生活のかたわら、数年前から小説を書き始めた。中高生時代にはロックにはまり、大学から30歳ごろまで打ち込んだのはボート競技。最初の一文を書くまでに時間をかけ、「初速の推進力」で「こうとしか書けない文章」を追求する。
 12歳、8歳の娘と一緒に見た宮崎駿監督のアニメ「崖の上のポニョ」の中で、波の上をポニョが走るのを見た人々が「助けなきゃ」とは思っても、誰も「おかしい」と思わない場面が印象に残ったという。「小説と同じ。ありえないことが文章になったとき、現実の方が小説に引っ張られる、そういうものを書きたい」
 目指すのは「自分」など超越した世界の美しさを小説で表現すること。だから、「自意識の小説だけは書かない」。きっぱり言い放つ。(金巻有美)(08年9月16日 読売新聞)

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