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2008年8月11日 (月)

小泉 今日子(女優)書評「夏休みに選ぶこの1冊)

今市子著 『百鬼夜行抄』1~10巻(ソノラマコミック文庫、各590円)
 夏といえば怪談。でも私は怪談が子供の頃から苦手である。大人になってもやっぱり怖い。 この漫画の主人公は「妖魔」を見る力を持つ高校生の男の子。辛く悲しいエピソードを抱えた妖魔達が彼の前に次から次へと現れる。背筋が凍るような怖さも感じるのだが、読後感はなぜかファンタジーのよう。少女漫画風の美しい作画と、サブキャラクター達のユーモアと、人間の世界と妖魔の世界を同じものと捉(とら)える作者の優しい視点があるからなのだろう。怪談嫌いな私なのに、いつのまにか妖魔たちの抱える悲しみに感情移入してしまうのだ。(08年8月11日、読売新聞)

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