伊藤桂一氏、文芸同人誌に見る世相を憂うことなど(A)
7月6日に同人誌「グループ桂」58号の合評会が秋葉原で行われた。
伊藤桂一師を迎えて、論評を聴く集まりである。前号の3月発行の57号には、花島真樹子「村にて」と桂城和子「黒髪」が、雑誌「文学界」同人雑誌評に取り上げられていた。それに対し、師の評価は、まだ進化の過程という程度のものであった。会員の多くはそれなりの成果とおもっていたようだった。
その後、連絡係の佐田さんから、伊藤桂一師の意向として、近年の会員の作風が、振幅が小さくなっている傾向にあるという、指摘があったということが伝えられた。
要するに、作品の傾向に不満ということだろう。師はよく、作品の評をしながら、「同人雑誌評ではどういう評価をするかは、わからないがね」といっている。観点が少し異なるのであろう。
58号は、宇多本次郎「河畔の家」という時代小説。佐田尚子「夜のベランダ」、花島真樹子「春の日に」、伊藤鶴樹「川のある下町の人々の一日」の4編であった。
鶴樹は、作品数が不足しているので、提出して欲しい、というので一度下書きを提出した。内容は、現代の世相とかつての学生運動や革命論、社会経済論などを中心にして、登場人物がそれぞれの議論するものであった。それを読んだ編集員が、これではつまらないので、面白くして欲しいという。自分はそれが面白いのだと、思っているが、仕方がないので、女性の井戸端会議の話題になるようなものを中心にして書き直し提出したものだ。
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