芥川龍之介:妻子らにあてた幻の遺書4通見つかる
芥川龍之介の遺書=東京都目黒区の日本近代文学館で2008年7月18日、丸山博撮影 35歳で自殺した作家、芥川龍之介(1892~1927)が、妻子らにあてた遺書4通がこのほど、東京都内の遺族宅で見つかった。遺書全6通の中身は全集に掲載されているが、現存する2通をのぞき、遺言に従って焼却されたと考えられていた。複製が19日から、東京都目黒区駒場の日本近代文学館で公開される。
遺書は、芥川が愛用した松屋製の200字詰め原稿用紙に黒インクで書かれている。丁寧な筆致で、随所に推敲(すいこう)のあとが残る。
妻文子にあてたうちの1通で、作品の出版権について指示した書面では、全集収録分とは異なって芥川の署名があった。一方、全集にある最後の2行は書かれていなかった。
「わが子等(ら)に」と題した遺書の一行目「人生は死に至る戦ひなることを忘るべからず」は「死に至る」を後から加えていた。
芥川の研究者で都留文科大名誉教授の関口安義さんは「事務連絡のような一部の文章を除き、文言をしっかり考え抜き、遺書を準備していたことが分かる貴重な資料だ。全集収録分と異なる個所などは、今後の大事な研究材料となるだろう」と話している。
遺書は今春、孫の芥川耿子(てるこ)さんが自宅を片づけている際に見つかったという。【岸桂子】(毎日新聞 08年7月18日)
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コメント
はじめまして。
私は、新宿を拠点に活動している劇団青年劇場の製作部の広瀬と申します。
突然の書き込み失礼します。
青年劇場では、来る9月に、「藪の中から龍之介」という、芥川龍之介を主人公にした演劇を上演します。
そこで、資料収集のためにネット検索していたところ、貴サイトにたどりつきました。
今回の作品は、新国立劇場などにも書き下ろし作品を提供している気鋭の作家、篠原久美子さんに委嘱したオリジナル作品です。
文豪・芥川龍之介の生きた「大正」という時代は、経済的繁栄から大不況への転落、デモクラシー運動の高揚と退潮、大震災に、深刻化する労働問題、膨大な自殺者など、まさに現代とそっくりな時代でした。
今回の作品では、芥川龍之介の作品群とその生きざまをていねいに見直し、彼の生きた「大正」という時代を描くことで、現代の私たちが抱える問題を浮きぼりにできればと考えています。
もし、ご興味がおありでしたらぜひ私どものサイトをご覧いただき、劇場に足をお運びください。
また、よろしければまわりの方々にも公演のことをご紹介くだされば幸いに存じます。
突然のお願いで大変恐縮に存じますが、どうぞ宜しくお願い致します。
残暑厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。
青年劇場 製作部
広瀬公乃
投稿: 青年劇場 広瀬 | 2008年8月21日 (木) 12時52分