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2008年7月12日 (土)

伊藤桂一氏、文芸同人誌に見る世相を憂うことなど(B)

 この日は、伊藤桂一師は元気そうで、杖をついてひとりで会場にやってこられた。自分は、遅刻して会場に着いたときは、会員が集まり、師が文学界の同人雑誌評が今年でなくなることを、話題にしていた。
 前日の5日、東京新聞に大河内昭爾氏が後藤喜一記者のインタビュー記事が「同人雑誌評 35年~新鮮な作品との出会いを夢見て」載っているという記事を読んだといっていた。ちなみに、伊藤桂一師は91歳、大河内氏はそれより10歳下の81歳のはずである。これは自分が感じ方だが、作家を育てることに熱心な師ではあるが、基本的には、文学賞がたくさんあるのだから、良い作品であれば賞を取れるはず、そのために修業が必要と考えているように思う。
 「同人雑誌評なら『全作家』でもよくやっているよ。会長の豊田一郎氏もなかなか、まじめに取り組んでいるようではないの」などという。
 合評会では、前号より、振幅が少ないということはなかったらしく、作品の長所短所を指摘し、無難に終わった。そのなかで、佐田さんの「夜のベランダ」と花島さんの「春の日に」は、身内の家庭内引きこもりを、母親や叔母の立場で書いている。評論のなかで師は「しかし、こういう問題は、最近増えたね」という。何でも、詩人の夫人のところに送られてくる同人誌にも、同じ題材のものが2,3あるそうだ。
「こんなんで、日本はどうなるのかなあ。政府はなんとかしなくいいのかなあ」と、師は心配そうに言った。
 困難な環境で生きることには、百戦練磨の師の言葉に、自分は、なんとなくおかしくなって「先生、いいですね。“作家・伊藤桂一氏、文芸同人誌を読んで世相を憂う”という見出しでネットニュースにしましょう」というと、苦笑していた。ついでに、師が選者をしている農民文学賞に関するネットニュースが、他の同人誌グループから、転載したいという申込が来ていたことを伝えた。「ほう、いいことだねえ」と喜んでいた。
 鶴樹の小説は、長編の一部であるにも関わらず、批評メモをとっていて、読み上げてくれて、珍しく、おおむね良い評価だった。なかに書かれた、振込み詐欺の事件と分析について「ここは良くかけている。文芸家協会の作家たちも被害があるようだよ。会報に転載したいくらいだね」とも言っていた。

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