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2008年7月19日 (土)

同人誌「季刊遠近」第34号(事務局・千葉県)作品紹介(2)

【「普通の子供達」逆井三三】
 私には、キヨという小学生時代からの友人がいて、キヨはガキ大将で、私はその子分という関係であった、いじめにもあう。その彼と大学でも一緒になり、キヨが交際している彼女とのことで、また痛めつけられる。その経過を描いたもの。冷めた筆致で、ちょっと虚無的な視線が、個性になっている。世間で問題視されているイジメ問題を、社会的な人間関係のひとつに過ぎない、という視点で描いたのかもしれない。ここに描かれたような事象と、現代のイジメ問題とは、質が異なるような気がする。時代の違いによるイジメ現象のちがい、と受け取ればよいのかもしれない。ただ、終わりの「私」が、彼らより善人だから友人から裏切られるのは、おかしいとしているように見えるのは、作者の考えなのか、「私」の事実認識がそうなのかが不明で、ニヒリズムで語った調子を乱しているような気がした。

【「バイキングが嫌いなわけ」難波田節子】
 都心のホテルで昼食にバイキングをとったら、そこでくしゃみをする人がいて、食べる気がしなくなった話。もっともである。

【「ボイスルーム」(パート2)都満州美】
 英会話学校が倒産さわぎで、閉鎖され、校外授業で続ける外国人教師や生徒のいきさつを、いきいきと語る。大変な事態なのがわかる。これまでも、現代の人間模様を活き活きと描いている作家だが、転居されるという。

【「円空仏の微笑み」の木よしみ】
 先祖のお墓の話と亡くなった親達の霊との交流を描く。子孫の現代人が住む場所が変わって、お墓を移転しなければならない。この世とあの世の境目をなくした話法が面白い。地震が多いので、お墓も動くのかもしれない。

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