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2008年7月26日 (土)

「第7回文学フリマ」でゼロアカ道場破りをそそのかす東浩紀氏の檄の分載(2)

東浩紀の「ゼロアカ道場破り」檄のあるHP
【ゼロアカ道場破りをそそのかす東浩紀氏の檄】(2)
 ちなみに、今回の関門は挑戦者が試されるだけではありません。ぼくと編集部が試される企画でもあります。11月9日は、道場の質が不特定多数の目に曝されます。それだけではありません。道場をあっけなく破られれば、むろん、ここまで選考を積み上げてきたぼくたちの面子も多少は潰れるはずです。それでもぼくたちはやります。そのほうが、結果的にいい才能を世に送り出せると確信しているからです。決して、ノリだけでやっているわけではないんですよ!

 あと最後に個人的な感慨を。
 この文章の読者のどれほどが覚えているかわかりませんが、いまから5年ほどまえ、2003年の秋に、新宿紀伊國屋のサザンシアターで「ファウストフェスティバル」というイベントがありました。まだ『ファウスト』が創刊したばかりのころです。
 2003年秋は、はてなダイアリーが流行し始めたころで、いま(サブカル系の)「ブログ論壇」と呼ばれているものの萌芽が見えてきたころです。初期のはてなでは「ファウスト」は有力キーワードのひとつで(まだそのころははてな自身が狭かったのです)、そのときぼくがイベント壇上から「このなかではてなIDもっているひと!」と呼びかけたところ、驚くほど多くのひとが手を上げたのをいまでも鮮明に覚えています。そして、その直後の文学フリマに、西尾維新と佐藤友哉と舞城王太郎の3人が、『ファウスト』編集部公認のかたちで同人誌を出品します。そこでも評論系のはてなダイアラーは会場を満たしており、ぼくもまた、そんな流れに刺激されて、年末にメルマガ『波状言論』を創刊することになります。


《東浩紀氏の文学フリマ観》
 つまりは、『ファウスト』の読者層と、文学フリマの参加者と、はてなダイアリーの利用者は、5年前にはかなりのていど重なり、いまだ名づけようがない、けれどもなにかの予感に駆られた独特の評論系読者共同体を作っていたのです。ぼくは(オヤジのノスタルジーと罵られそうな予感もしますが)、いまでもあのころの静かな熱気をよく思い出します。
 したがって、講談社BOXが主催し、文学フリマとはてなの協力を得て実施されるこの第4回関門は、ぼくにとって、なにかもういちど出発点に戻ってきたような感慨を与えてくれるのです。
 奇しくもこの8月には、『ファウスト』第7号が出版されます。それも含め、ぼくには、時代がひとめぐりをしたのだな、という感覚があります。5年前は、まだ『ファウスト』もブログもなにもかも、まだまだマイナーで混沌としていて、とても小さなものでした。そのあとの拡大を否定する必要はありません。しかし、ぼくたちはいま、そのころの空気を思い出し、歴史をまた一歩先に進めなければならない時期に入っているような気がします。ゼロアカ道場の関門通過者に求めるのは、そのような一歩を、ぼくたちとともに歩んでくれる覚悟とそれに伴う才能です。
 第4回関門は、上記のように前代未聞の企画です。前代未聞、ということは、ぼくたちの停滞を切りひらくなにかの可能性がそこから見えてくるかもしれない、ということでもあります。
 道場生のみなさん、そして道場外の読者のみなさん、みなでその現場に立ち会おうではありませんか!(2008年7月17日 東浩紀)

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