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2008年7月18日 (金)

同人誌「頌(オード)」第29号(武蔵野市)作品紹介

【詩「再出発のうた」安藤俊雄】
詩というものは、行を変えるとそれらしくなる。なかには、つなげて散文にしても問題のないものを見かける。この詩は、詩人としての自覚に満ちた覚悟が感じられ、好感をもって読めた。

【映画批評「アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(メキシコ)監督作品論」小原優】
名前からして、韻律が詩人のような、巨匠のようなイメージがある。映画監督であるが、知らないし、作品も観たことがない。それでも、緻密な解説と製作意図の分析は、ずば抜けて鋭く、優れている。たとえ自分が映画館でこの監督の作品を観たとしても、このような深い解釈はできなくて、ぼんやりと観すごすだけであろうと思う。
 作品「アモーレス・ペロス」(1999年)、「21グラム」(2003年)、「バベル」(2006年)の3篇の意図と手法があり、すこしでも創作的な小説を書こうと思うひとなら、映画の手法を学びながら、小説の書き方を考えることができる。朝起きて、顔をあらって、歯を磨き、という日常的小説を書くことから脱皮したい人には、ぜひ読んで欲しい評論である。菊池寛が生きていたら、作家志望者の必読の書にするかもしれない、というのはジョークだが、自分は大変参考になり、むさぼるように読みふけった。

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