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2008年7月16日 (水)

同人誌「砂」第107号の作品を読んで(2)

(評・中村冶幸=「砂」の会会員・文芸同志会員)

【ブログ「文芸同志会通信」日誌(一)伊藤鶴樹】
 以前「文芸研究月報」紙を毎月愛読していたので、その裏話として楽しく読めた。パソコンを持っていないので、ブログの情報を読めないのが残念におもう。ペンネームの由来には書く姿勢の懸命さを感じることができた。文芸情報を集めることに「社会観察のフィールドノート」になっているという考えは卓見だとおもう。ブログのアクセス数や情報の原稿枚数などの数字を出しているのが具体的で判りやすい。情報の入手先を探す方法も直ちに判明するよう工夫がしてあるのがよいシステムとして感心した。末長く続けてもらいたく期待します。

【紀行文「佐渡紀行 その一」木下 隆】
 読んでいて臨場感がある。それは観察が行き届いているからに違いない。大野亀が高さ百七十メートルほどのおむすび型大岩といった具体的な表現。尖閣湾で強風に遭い「前より凄みがある。強風のおかげで」という浅井さんの言葉が真に迫っている。
 作者が小学一年のとき疎開にきたことで、佐渡により親しみがあることが随所にあらわれている。
 それゆえ「鬼太鼓」や「佐渡おけさ」をみたとき、ほんらいは精霊を慰める儀式のはずのものが、ショウ化してしまうことを憂えていることでわかる気がする。
 ただ漢字が多いので、もうすこし(ひらがな)で表現してみてはいかがだろうか。
 文章は品格があって読みやすいです。

【小説「タイムリミット」牧野 誠】
 主人公の男性が自殺を遂げようとする話だが、その理由が、末期ガンを苦にしてでなく、先立たれた妻を追ってでもない。四十二年まえ、心中をしたが生き残ってしまったので、その完結のためというのがロマンチックだ。
 死ぬ場所は、月光をあびた桜の満開のもとで、その情景はあたかも西行の和歌をおもわせる。ただ惜しむらくは月と桜の描写が弱い。「桜の木を見上げるとまだ散ってはいなかった。──今を盛りと月光に映えていた。だけでは物足りない。もっと描写してもらいたかった。P44下段前より三行目「判決を待つ犯罪者の気持ち」という表現がうまい。
 P45上段一行目「痩せた白衣の」の箇所にその医師が女性であることを記してもらうと、下段七行目──九行目の表現がよくわかるとおもう。

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