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2008年7月15日 (火)

同人誌「砂」第107号の作品を読んで(1)

(評・中村冶幸=「砂」の会会員)
 このところ表紙に矢野さんの絵が飾られていますが、今号は艶っぽい女性が読書をしていて表紙をみるだけでも楽しくなります。
【随筆・エッセイ「出水平野の鶴」渡辺千葉】
 簡潔で的確な表現をして読ませます。P3上段、後ろから五行目から四行目にわたって「人間社会の……見守っている」という文章に描かれている。近ごろの社会のありさまにたいし、おなじ段の真ん中あたりの鶴の身内に対する思いやりを描くことで、人権批判をしている。このような思いを抱く人がいることが心強い。世の中、見捨てたものではない。
 ただそのおなじ段の最終行の「観光地のーーガラス窓」はなんの建物をさしているのかを書かれると、もっとわかりやすくなると思います。
【「寂しい遠足」望月雅子】
 作者が65年前の小学二年の遠足のことを思い出し、客観的に少女の心中をみつめそのようすを描いているのがよいです。昭和18年の戦争中に遠足があったというのが発見だが、節約一点張りだったのが、いかにも戦中を物語っているようです。乾燥卵というのが珍しい。茹で玉子が潰れて寂しい思いをするのが象徴的に描かれていて、内省の深さををおもいます。少女が弁当や服装について、いろいろ葛藤してますが、いまの豊かになった社会でも考えられることで、その普遍性を通して、戦争の悲惨さ、平和のありがたさを訴えているのが見事です。

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