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2008年6月30日 (月)

『アダム・スミス…』の利己主義観

今週の本棚:中村達也・評 『アダム・スミス…』=堂目卓生・著
 ◇『アダム・スミス--『道徳感情論』と『国富論』の世界』(中公新書・924円)
 ◇人間と経済を考えるための宝庫
 アダム・スミスとくれば、高校生でも名前は知っている経済学の創始者。その著『国富論』は、いうまでもなく古典中の古典。
 その第一。スミスといえば、通常は『国富論』を軸に議論が展開される。
例えば、利己心に導かれた人間の行動が、「見えざる手」に導かれて社会的な利益をもたらすとして、市場の価格調整メカニズムが説明される。そして補足的に、その利己心は決して自由気ままなそれではなく、「公平な観察者」からの同感が得られるようなものでなければならない、と。
そのとき引き合いに出されるのが、スミスのもうひとつの著『道徳感情論』。つまり『国富論』がメインで、『道徳感情論』によってそれを補足するというスタイル。ところが堂目氏のこの新書は、まずは『道徳感情論』を軸に据え、スミスにおける人間の「様々な感情」を徹底的に読み込み、実に明快にそれらを再構成してみせる。それとの関連で『国富論』を論じるという構成。

 『道徳感情論』の中に登場する人間は、常に他人の目を意識し、彼らの同感を得られるよう心がける。いや、他の人間一般ではなく、「公平な観察者」としての他人の目を意識する。そうした経験を重ねることによって、ついには自らの胸中に「公平な観察者」の目を持つようになる。

世間の評価がどうあろうと、胸中の「公平な観察者」の同感を得られるように。しかし人間は、世間の評価を気にして、胸中の「公平な観察者」の目をなおざりにしてしまう「弱さ」をも併せ持っている。スミスは、そうした「弱さ」を、決して拒絶しはしない。なぜなら、「見えざる手」の作用を通じて、そうした「弱さ」が経済の発展に結びつくと見るからである。

 富と地位を手にして世間の称賛を得ようとする人間の虚栄心が、経済の発展へとつながる道筋を、スミスは見据えている。同感、虚栄心、悲哀・歓喜、称賛・非難、感謝・憤慨、野心、慈恵、高慢……といった具合に、『道徳感情論』の中の「様々な感情」が、見事に読解されてゆく。

 その第二。『道徳感情論』における人間観が、現在の学問に投げかける意味合いを、著者は意識している。例えば、脳科学における「ミラーニューロン(他人の行動を自分の行動のように感じ取らせる神経細胞)」や、「セオリー・オブ・マインド(他人の行動から、その人の心を推測する能力)」は、それこそスミスの人間観に重なる。さらに、最近注目されるようになった「行動経済学」。まるでロボットのような単純な合理性を具(そな)えた人間を前提にしてきた主流派経済学を見直し、実験的手法やアンケート調査を通じて、現実の人間行動に即した仮定を打ち立てようとする試みは、これまたスミスにつながる。
 (毎日新聞 08年6月22日)

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2008年6月28日 (土)

ブッシュと石油問題

 こんな見方もあります

「原油価格の先行きを考える」(筆者=木村輝久・日本個人投資家協会副理事長)
既存油田の生産量は既に年率5%で減少しており、一部の油田では水を注入して圧力を加えないと原油が汲み上げられなくなっていると聞く。新油田の発見量は消費量の4分の1に過ぎなくなっている。新油田発見のピークは1960年代の後半であった。過去10年間、世界の上位48の産油国の内33か国で生産が減少しており、OPEC加盟11か国中6か国の生産も落ちている。従って世界経済の拡大に伴う需要増にどう対応して行くかが今後の大問題である。
 石油の埋蔵量問題で考えておく必要があるのは、OPECの生産枠が埋蔵量に比例して決められることから、各国が競って埋蔵量を膨らませて発表している事。そしてもう一つ、世界最大の産油国サウジは自国の埋蔵量をかなり正確に予知している筈で、サウジ王家がアメリカのバックなしには存続出来ないことを考え合わせると、アメリカもサウジの原油埋蔵量が判っていると考えるべきで、イラク問題の根源はそこにあると言えるのではなかろうか。因みに公表されているピークオイル時期の予測を列記すると、フランスの政府機関DIREMが2013~2023年、ドイツの政府機関であるBGRが2017年、BP探査部門のR・ミラー博士が2019年、OECDのIEAが2030年以降、アメリカ・エネルギー省情報局が2037年となっており、ドイツ、フランスの見方が非常に厳しい事が判る。

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オリバー・ストーンが描く“ブッシュの真実”

08年6月27日(金) クーリエ・ジャポン=掲載: COURRiER Japon + hitomedia 2008年7月号
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 JFKやニクソンなど、歴代の米大統領を描いてきた映画監督、オリバー・ストーンが、米ルイジアナ州南部でブッシュ現大統領を主人公にした新作『W』を撮影中だ。全米公開は今年10月になるという。
 「ブッシュが、いかにしてアル中の能なしから、世界の権力の頂点に登りつめたかを描きます」とストーンは語る。
 「テレビに映るブッシュ像はすべて管理されており、私たちは本当のブッシュをほとんど知りません。私は舞台裏からブッシュの真の人物像をとらえようと思ったのです」
 ブッシュ役を演じるのはコーエン兄弟の『ノーカントリー』でカウボーイ役を演じたジョシュ・ブローリン。父親との対立、アル中時代の様子、テキサス流儀の恋愛、「悪の枢軸」をめぐる裏話、プレッツェルを喉につまらせて死にかけた話などが描きこまれるという。夫人のローラ役には、『スパイダーマン3』などで知られる、エリザベス・バンクスが抜擢された。映画には、コリン・パウエル、コンドリーザ・ライスらブッシュ政権を彩る政治家も登場する。
 この映画の脚本には、米タイム誌の記者がブッシュに「9・11以後、あなたが犯した最大のミスは何ですか。そして、そのミスから何を学びましたか」と質問する場面があるが、これは実話にもとづいたもの。映画のブッシュ大統領は「前もってその質問を書面で欲しかったですね。そうしたら準備できたのに」と答えるが、これも実話の通りだ。
 カストロ、ニクソン、アレクサンドロス大王の時と同じで、今回も主人公の“人間っぽさ”に焦点をあてているというストーン。「ブッシュ自身が面白い人間なので、映画自体も面白くなるはず」と自信満々だ。
スレート・ドット・コム(USA)ほか
=メモ=
ブッシュの時代ほどバカなアメリカがむき出しになった時代はベトナム戦争以来だろう。北朝鮮に土下座して、なかよしこよし。言ってることとやってることがまったく合わない。世界中から馬鹿にされることになるのでは。

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友情悲しき結末、66歳児童文学作家 俳優殴り死なす

 大阪で先週、児童文学作家の男が、20年来の友人である杉並の劇団員の男性を殴り、死なせる事件があった。2人は阿佐谷の飲食店で酒を酌み交わし、芸術論を語り、一緒に絵の展覧会も開くほどの仲良しだった。友情の悲しい結末に、劇団員や地元の人たちはショックを隠せないでいる。(金杉康政)
 亡くなったのは、「劇団手織座」(杉並区成田東)のベテラン俳優、汐見直行さん(62)。逮捕されたのは、絵本「かばのさかだちあいうえお」などで知られる吉田定一容疑者(66)。
 事件が起きたのは今月20日の早朝、大阪府高石市内の吉田容疑者のマンション。酔った吉田容疑者が顔を素手で殴り、汐見さんは転倒。その弾みでテーブルで頭を強く打ち、意識を失った。吉田容疑者は午後になって酔いがさめ、汐見さんの様子がおかしいのに気づき、救急車を呼んだが、頭内に出血しており、助からなかった。
 2人の友情は東京ではぐくまれた。吉田容疑者は以前、杉並に住んでおり、約20年前、劇団最寄りの阿佐ヶ谷駅前の飲み屋で知り合い、親しくなった。飲食店関係者によると、「お互いに『汐見ちゃん』『定一さん』と呼び合い、酒を飲みながら芸術談議に花を咲かせていた」という。
 友情を象徴するのが、「二人画展」。14年前から毎年4月、駅前のギャラリー兼喫茶店で開いてきた。吉田容疑者が出身地の大阪に戻った後も交流は続き、この4月もお客さんに笑顔を振りまく吉田容疑者の姿があった。汐見さんは版画、吉田容疑者は油絵。分野は違っても絵心は通じ合っていた。
 2人が個展を開いていた喫茶店関係者は「展覧会の成功祝いで久しぶりに飲んだのかもしれないが、こんなことになってしまって」と、ショックを隠せない様子。劇団仲間も「吉田さんは汐見さんの舞台を欠かさず見に来る仲だったのに」と言葉を詰まらせる。約40年の役者人生。汐見さんは物静かでまじめな人柄から信頼も厚く、劇団のまとめ役だった。役者としては、準主役を務めた「楢山節考」の評価が高い。
 一方の吉田容疑者。絵本や詩集を数多く手掛け、著名な児童文学賞を受賞したことも。一時は、都内の大学で講師も務めるほどだった。知人らによると、以前から酒に酔うと言動が粗暴になる癖があった。
 大阪府警高石署副署長によると、2人は事件前日の昼からマンションで飲み始め、吉田容疑者はいったん外のスナックに出かけたが、汐見さんは付き合わなかった。帰宅後、「なんで来ないんや」とからんで殴りかかった。それが2人の最後のやりとりに。
 調べに対し、吉田容疑者はがっくりと肩を落とし、「申し訳ないことをした」と語ったという。(08年6月27日 読売新聞)


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2008年6月27日 (金)

立松和平氏「二荒」絶版、日光市職員の著作と類似点

 作家の立松和平氏の小説「二荒(ふたら)」(新潮社)の内容の一部が、栃木県日光市職員の福田和美氏の著作「日光鱒釣紳士物語」(山と渓谷社)の記述と類似していることが分かり、新潮社は27日までに「二荒」の絶版を決めた。
 福田氏からの指摘を受けて同社が調査したところ、昭和初期に中禅寺湖で鱒釣りに来ていた外国人と地元のガイド役との交流を描いた「二荒」の第二章の冒頭部分が、福田氏の作品の創作部分と類似していた。
 立松氏は、本の巻末の参考文献に同書の名前を挙げていたが、新潮社は「使用の仕方が参考の域を超えていると判断せざるを得ない」とし、立松氏と協議の上、絶版とした。
 立松氏は「内容は、歴史的事実と思いました。紛争を避けるため、絶版にしました。書き直したものを再出版する予定」などとコメントを発表した。(08年6月27日, 読売新聞)

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宮崎事件の教訓=大塚英志教授に聞く

(東京新聞6月24日、橋本誠記者)大塚英志・神戸芸術工科大学教授(49)に聞く=幼児連続殺人事件の宮崎勤元死刑囚(45)の死刑執行から1週間。裁判所は動機を「性的欲求」と断じたが、再発を防ぐ教訓は十分引き出せたのか、一審で弁護側証人を務め、「『心の闇』の何割かは解明された」と話す大塚教授に聞く。――裁判で見えてきた事件の背景はメディアが報じた「おたくの犯罪」とは言い難かった。例えば、宮崎死刑囚の部屋の約6千本のビデオ。スポーツ番組やニュース、アニメなど脈絡のないコレクションで「性的なものやホラーは1%程度。むしろ割合からいったら少ないくらいでしょう」。なぜという問いには、成育歴や生活環境の複合的な要因のなかでしか説明できない、という。(中略)「何か、たった一つの分かりやすい理由がそこにあるわけではない。ただ、いえるのは一つ一つのささいなことの積み重ねで家族からも仲間からも疎外されていったということだ。(中略)事件をことさら特殊し、分からないと繰り返すメディアや世の中との落差を強く感じた20年だった。」
 だから大塚氏は「永山元死刑囚や、秋葉原の通り魔事件の加藤智大容疑者(25)にも共通点を見出すべき」だと考える。
「加藤容疑者は親子関係がうまくいかず、永山元死刑囚も育児放棄に遭った。家出を繰り返し、派遣社員、集団就職という格差の最下層に置かれ、新宿や秋葉原にも居場所がなかった。表面に彼らがまとったサブカルチャーが違うだけで、そういう若者が今も昔もいる」。

=メモ=大塚氏の意見は、概ね賛成できる。宮崎事件が「性欲」によるものというのは、裁判官がまったく事件を理解していないということだろう。性欲に取り付かれた人間が、なんであんな面倒な細工をするというのだ。手紙の細工を考えている間、やりたい一心の性欲はどうなっているのか。
 裁判官や検察などの役人は「性欲」「金銭欲」と「保身欲」しか持たない世間知らず単細胞人間が多いのでは? 人間の複雑な精神など知る機会もないであろう。これからも裁判官はばばかしい判決を出しまくるだろう。裁判への市民参加を危ぶむ意見が多いが、心配は無用であろう。悪くても、現在の裁判官と比べても見識力は五十歩百歩で、同じようなものではないのか。

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文芸時評6月(東京新聞6月25日)沼野充義

《対象作品》桐野夏生「東京島」(新潮社)/大島孝雄「ガシュマルの家」(「小説トリッパー」08年夏号)/ギュンター・グラス「玉ねぎの皮をむきながら」(依岡隆児訳、集英社)/絲山秋子「ラジ&ピース」(群像)/谷崎由依「冬待ち」(文学界)。

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2008年6月26日 (木)

文芸時評・6月(朝日新聞6月25日))斉藤美奈子

今月の3点《対象作品》村田彩耶香「ギンイロノウタ」(新潮7月号)/舞城王太郎「イキルキス」(群像7月号)/「ロスジェネ」創刊号(かもがわ出版)

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2008年6月25日 (水)

文芸時評・6月(読売新聞6月24日)

(山内則史記者)《対象作品》奥泉光(52)「神器 浪漫的な航海の記録」(新潮2006年1月~08年7月号)/古川日出男(41)「狗塚カナリアによる『三きょうだいの歴史』」(すばる)/蜂飼耳(34)「城跡」(群像)/絲山秋子(41)「ラジ&ピース」(同)/舞城王太郎(34)「イキルキス」(同)。

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2008年6月23日 (月)

詩の紹介 < 五月の風と白い帽子 > 菊間順子

 犬の目と犬の気持ちで書いた詩でしょう。純粋な時代の純粋なこころ。なんともういういしい作品です。現代人が失ったものが、そこにあるのです。(紹介者・江素瑛)


       「五月の風と白い帽子」  菊間順子

           白い帽子の女の子を見なかったかい
           いつも坂の上から白い帽子を振りながら
           小犬といっしょに駆けて来たんだ
           五月の風と光に笑顔がまぶしくて・・・・・
           約束をしたんだ 五月の誕生日が来たら 
           ボクにキスをしてくれるって              
           そっと云ってくれたのに
           風と光がシットしてつれて行って
           しまったのかな
           ボクの白い帽子のあの女の子

                  詩誌・放物線 No.16   1983年 9月 東京渋谷区

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2008年6月22日 (日)

没後60年の「桜桃忌」

 太宰治の墓前で読経を見守るファンら(東京都三鷹市で) 作家・太宰治をしのぶ「桜桃忌」が19日、太宰の眠る東京都三鷹市の禅林寺で営まれ、全国のファンがサクランボや酒を墓前に供えた。
 今年は没後60年。参列者の世代交代も進み、ミュージシャン風の若者やコスプレの女性も。午後2時の読経では、300人ほどが合掌した。
 暗いイメージもあった太宰だが、同市は今年、「太宰治文学サロン」を開設して、本格的に「太宰の生きたまち」を売り出し中。「ここまで盛り上がったのは初めて」という盛況ぶりだ。(08年6月19日 読売新聞)

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2008年6月21日 (土)

児童文学の吉田定一容疑者を逮捕、殴られた俳優死亡

 自宅で知人の男性俳優を殴ったとして、大阪府警高石署は21日、児童文学作家・吉田定一容疑者(66)(大阪府高石市)を傷害容疑で逮捕した、と発表した。男性は、暴行の約16時間後、搬送先の病院で死亡した。同署は傷害致死容疑に切り替えて調べている。
 発表によると、吉田容疑者は20日午前7時ごろ、自宅居間で、知人の俳優汐見直行さん(62)(東京都杉並区)の顔を殴った疑い。汐見さんは、はずみで転倒し、頭を強打して失神。吉田容疑者はそのまま放置していた。汐見さんは病院に運ばれたが同日夜、硬膜下血腫(けっしゅ)で死亡した。吉田容疑者は1981年出版の詩集「海とオーボエ」で野間児童文芸推奨作品賞を受賞。汐見さんは「劇団手織座」所属の舞台俳優。(08年6月21日 読売新聞)
=メモ=
 年を取ると、「感情失禁」といって、激情にかられても押さえる力がなくなる病気になることがあるという。自覚すると、ひどくならないかも。要注意です。

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万引き防止シール、お客さんに不評…福岡県の書店組合

万引き防止のためのまんぼうシール 福岡県書店商業組合(山口尚之理事長、359店加盟)は、万引き防止のため2年前に導入した販売証明シール「まんぼうシール」を今年10月末に廃止し、電子荷札(ICタグ)を使った新システムの導入を検討することに決めた。
 シールは、購入品と盗品を区別し、換金目的の万引きを防ごうとする全国初の試みだが、客のクレームが店側の足並みの乱れを招き、十分浸透しなかった。出版不況で苦境に立つ書店業界は、経営を圧迫する万引きとの戦いで試行錯誤を続けている。
 同組合によると近年、青少年の万引きは従来型の防犯器具では抑止できないほど巧妙・悪質化した。中高生が複数で来店し、レジに設置した防犯ビデオのモニターを見て死角を探したり、防犯ミラーを逆手に取って店員の動きを探ったりと「大人顔負け」(大石宏典常務理事)という。県内で万引きして摘発された少年(10~19歳)は、2007年に1805人(県警少年課)で全国屈指の多さ。
 経済産業省が02年に全国の約1400店舗から回答を得てまとめた実態調査では、1店舗あたりの万引きの年平均被害額は211万円。万引きの大半が、換金目的とみられている。
 書店経営を圧迫する状況に耐えかねた同組合が、県警の助力を得て考案したのが魚のマンボウを描いた「まんぼうシール」だった。書店で客が買った本の裏表紙にシール(1枚1円)を張り、新古書店にシールのない本を買い取らないよう求めてきた。
 ところが、レジでシールを張るのを待たされていらだつ客や、表紙を汚されるとしてシールを嫌がる客のクレームが続出。大型書店が並ぶ福岡・天神では、シールの張り付けを徹底していた書店から、他店に客が流れる現象が起きた。導入した06年7月当時、86%の店舗が張り付けていたが現在は20%に落ち込んだ。
 北九州市など県境の新古書店では、シールを導入していない隣県からの客が古本を持ち込むこともあり、「シールなしは盗品」と断定できない事情もあった。(08年6月7日 読売新聞)

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2008年6月19日 (木)

詩の紹介 寸詩寸感(抜粋)  作者・坂上清 

<紹介者 江素瑛>
           ** こころ
      朝 電車の網棚に置き忘れ出勤する
      昼 プログラムをセットされ仕事をした
      夜 電車の網棚を探したが見当たらない

< 仕事をしたくない気持ちなのか、忘れられたこころは誰かにどこかへ持ち去られたのかも知れない >

           ** 開発の街 (8)
       空を切りとって
       人々が住んでいる
       パンツやシャツがベランダでゆれている
       本当の空はあの中にある
 
< 海の埋め立て、河の河川敷、空の宇宙船、自然を絶えずに侵していく人間の欲望はどこまでも広がる >

           **平成の情景-夏休み
        昆虫網を買って貰った
        野球帽は三つ買って貰った
        虫籠も三つ買って貰った
        蝶々・トンボ・甲虫は百貨店へ買いに行った

< いつの間にか百貨店全体は、きっと大量な昆虫達が、繁殖し占拠していくでしょう >
                       ( 坂上清詩集より )

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ある断片からー資本主義社会の本質

 資本主義は、人間の悪徳性がなければ、こんなに発展することがなかった、という発想を小説のなかに入れてみた。

(伊藤鶴樹の小説「川のある下町の人々の一日」より抜粋)
(前略)
「簡単にわかりやすくか。そうだね、いまの時代は、なにか前向きとか、勝ち組とか、よき社会人でなければならい、という価値観が一般的ですよね。
 ところが、社会が段階をへて発展するものであるという考えが出始めた時代は、人間はもともと悪徳のかたまりで、強欲なものであり、その悪い根性が、社会と経済の発展を促した、という思想だったのです。その人間観がどこでどのように変わってきたのかを研究しようと思っているのです。
 たとえば一七〇五年にマンデヴィルは『蜂の寓話』で商売の源泉を『悪の根という貪欲こそは、かの呪われた邪曲有害の悪徳。これが貴い罪悪である濫費に仕え、奢侈は百万の貧者に仕事を与え、忌まわしい鼻持ちならぬ傲慢が、もう百万を雇うとき、羨望さえも、そして虚栄心もまた、産業の奉仕者である』と書いているのです」
「突飛で簡単な話なんですね。昔は、どうして、そんなにいじけた考えだったのですか」
「それは、いまも同じでしょう。たとえば、新聞、テレビ番組、インターネットの情報などで、大衆が人の不幸を見たい、芸能人のスキャンダルや離婚を知って、嫉妬心を満足させたい、という欲望が購買意欲を支えているのです。パチンコ産業だって、働かずに簡単にお小遣いを稼ごうといういじましい人が居なくなれば、さびれてしまいますよ。我々は、この喫茶店に来なくなって、ここもさびれてしまうでしょう」
「そういえば、私なども近所の人と立ち話をした時に新聞の三面記事に事件がないと、今日の新聞はつまらないわね、とか言っていたことがありますよ」
「人間の自分勝手な自己中心主義は、誰もが平等に持っています。それはこの宇宙に引力が存在するのと同じ、基本的な原理です。そこにマルクスが、それをベースにした社会論を社会科学とした根拠があるわけです」(後略)
 
 物を大切に、無駄をせずに、見栄を張らず、人間は良いことしかしていけないという、進んだ思想を持つと、そこでは資本主義が栄えることはない。そして、原始的な生活を維持する進んだ精神的思想の民族や人種を、未開人として扱う精神こそ、資本主義社会によって、思想的に退化してしまった人たちなのである。

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文庫、出版点数増えたが市場は横ばい

 (08年6月11日 読売新聞)「文庫戦争」という言葉が使われ始めてどれだけたつだろうか。ただ、文庫市場は現在も、新規参入や新レーベルの設立が相次ぎ、各社が激しくしのぎを削る。(川村律文)
 「宝島社の文庫という知名度を上げていきたい」
 5月に新レーベルの「宝島SUGOI文庫」をスタートさせた宝島社出版部の小林大作さんは、こう強調した。これまで同社は「宝島社文庫」で文芸や教養を主に扱ってきたが、月ごとの発売数は10点から1、2点と大きなバラツキがあった。「SUGOI文庫」では、通巻1500号を超すムック「別冊宝島」で人気があった『裸の自衛隊』などノンフィクションを中心に収録する。両文庫とも当初、毎月15点ずつと大量刊行を目指し、文庫としての存在感をアピールする。
 小林さんは「文芸がメーンである文庫市場で、『別冊宝島』で培ってきたノンフィクションという財産があり、他の出版社との差別化は図れる。定価も500円前後に抑えている」と話す。
 一方、「少数精鋭」を掲げるのは、4月に創刊した「ポプラ文庫」(ポプラ社)。江國香織さんの絵本『夕闇の川のざくろ』や、林真理子さんの短編集などを2か月に一度、約6冊のペースで刊行していく。吉川健二郎副編集長は「点数を増やすと、版元の疲弊も大きい。良書を厳選して文庫にしていきたい」と話す。
 このほか、コミック雑誌を出版している一迅社は、既に5月に男性向けの「一迅社文庫」を創刊。7月には女性向けの「一迅社文庫アイリス」の刊行を予定するなど、ライトノベル文庫に参入した。
 一方、迎え撃つ老舗文庫でも対抗策に知恵をしぼる。今年で60周年を迎えた角川文庫では、森絵都さんや東野圭吾さんといった人気作家を月ごとの“編集長”として招き、お薦めの角川文庫を紹介してもらうキャンペーンを始めた。森さん推薦の井上靖『愛』や、東野さんが選んだ松本清張『神と野獣の日』など、ユニークな選択が多く、キャンペーンをきっかけに再び脚光を浴びる作品もある。郡司聡文庫編集長は「書き手であり、また読書家である作家に、人と文庫の出会いを提案してもらおうと考えた」と話す。
 ただ、個別の動きは目立つものの、文庫市場全体は拡大していない。出版科学研究所の調べでは、2007年の文庫の売り上げは1371億円と、1997年の1359億と同水準。しかし、07年の文庫新刊点数は7320点と97年に比べ4割以上も増えており、種類の多さで、販売金額を維持しているのが現状だ。
 同研究所では「業界全体が過当競争とわかっていても、ベストセラーを狙い出版点数が増えている」と指摘する。激しい争いが恒常化しているという意味で、「文庫戦線、異状なし」といったところか。

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2008年6月18日 (水)

「ハリポタ」7巻の初版、180万部に

7月23日発売の「ハリー・ポッターと死の秘宝」(上下巻)の初版部数が180万部に決まった。本体3800円、分売不可。特製バックが初回特典に付く。

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2008年6月17日 (火)

集英社が小学館プロダクションに資本参加

小学館プロダクションはこのほど、資本金を9900万円に増資し、社名を「小学館集英社プロダクション」に変更した。集英社の出資比率は3%。集英社は北米を中心に、ヨーロッパ、アジアなどにマンガコンテンツを拡げ、キャラクターのライセンス管理や商品化、映像化を進める。小プロの08年3月期の売上高は274億円。17日の記者会見で、小学館の相賀昌宏社長、集英社の山下秀樹社長、小プロの八木正男社長が発表した。

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2008年6月15日 (日)

同人誌作品紹介「槐」第26号JUNE(千葉・佐原市)

【詩「栄螺(さざえ)」、「赤梨」丸山乃里子】
 「栄螺(さざえ)」は、人間存在の本質を、装飾を剥ぎ取って、ひとつの生命体として観る視線の深さを感じて、印象に残った。サザエ採り風景が、こわいくらいに、エロかっこよく感じられる。「赤梨」は、夜の列車に疾走する馬が衝突するイメージ。大地の赤梨とマシンと馬。個性のある、美的な生命表現に長けている。

【「居眠り」江時久】
 音の種類によって、聞こえ方が異なる聴力をもつ「ぼく」の夢の中の走馬灯のように浮かぶ過去と現在。それは、難聴の一種らしく、補聴器をつける。老婆に、電車の行き先を幾度も訊かれて困惑するところなどは、老婆がカフカのように思えて面白かった。ここはもっと長く引っ張って欲しいところだったが、読者が何を面白く思うかに無関心なのが、同人誌の小説で、それは贅沢かもしれない。難聴や小説を書くことへのこだわりを、面白く表現している。

【詩「不安な箱」、「庭園」野澤睦子】
 「不安な箱」人間は、生きている間は、嫉妬心に振り回される。逃れたいけど、逃れられないのが悲しさを表現したか。「庭園」夜桜の花びらか、蝶の舞か。しんしんとした庭の心象風景。静寂と美。つかめない時を惜しむ感覚が欠落感を呼ぶらしい。

【「雨上がりのギャロップ」木下伊津子】
 美和子は庭で転んで骨折したとある。その後の美和子の青春時代の回想が続いて、回想の途中で終わっているように受け取れた。

【「母親」乾夏生】
 主人公の犬飼は、幼児期に父を戦争で亡くし、母親に育てられる。彼は家庭を持ち、娘二人を成人させている。88歳になる母親は、彼の家庭のすぐ近くのアパートに住んでいる。母親はひたすら息子の世話をやくことに生きがいを見出している。その気持を充分理解しながら犬飼は、迷惑に感じてしまう。そんな自分を身勝手だとも思っている。犬飼の仕事場、妻のこと、嫁姑の葛藤、娘のことを、細部まで分かりやすく書き込んで、犬飼の境遇と環境が良くわかる。盛りだくさんの話題を、巧みに処理して、現代のある男の生活を浮き彫りにしている。
 犬飼は、母親が若い未亡人であった頃に、好きな男と交際していたことがあるのを記憶している。あの時、母親が再婚していたら許さなかったであろうと、犬飼は思っている。息子の身勝手な思いであるが、今、つれなくしていながら、そこに母と息子の愛情が表現されている。母親だって、息子のことを思って再婚しなかったのであろう。
 今も、母親は彼の家の門灯をつけたままにしおいて、彼が帰宅すると門灯を消すのを見て帰宅するのを知るのである。年老いた母親の切ない心である。
 嫁姑の葛藤が起こるもととなる些細な事柄もエピソードが具体的にかかれ、苦笑させられる。また、二人の娘との関係も説得力をもって、描かれている。特に、長女の鬱屈した両親への思いがよく描かれている。
 長女というものは、物心がついた時期に、下の妹が生まれ場合、それまでの自分が両親の愛情を独占していたのに、赤ん坊に両親の関心を奪われ、初めて孤独な寂しさを体験する立場にある。そのため、教育的には、下の子が生まれたら、姉の方を倍以上かわいがって、甘えさせることが良いそうである。赤ん坊は、両親が姉をいくらかわいがっても、まだそれがわからない時期なので、問題ないそうである。
こんなことを、私が知っているのは、長女に妹が生まれてから、口元が不機嫌に、への字なることが多く、不審におもっていたら、教育に詳しい友人にそのことを教えられて合点がいった経験があるからだ。その時期に、ユーモアのある「ひとまね子ざる」とかいう絵本を買い与えたが、長女は、その本のことを「寂しい絵本をかってもらった」と語る。娘ふたりと父親の関係も、この作品に似たようなところがある。
 家庭というものは、物心をついたら、家族が難破船に乗っていることに気づくようなところがある。どこかゆがんでいるものだ。
それはともかく、この作品はフラットな心境で、現代における、ひとつの家族の愛情関係を見事に描き出している。手法的にも大変優れたものがあると思う。

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2008年6月14日 (土)

文芸同人誌評「週間読書人」08年6月20日・白川正芳氏

《対象作品》「田園風景」坂上弘(講談社文芸文庫)、「ボンと歩けば」南奈乃(「てくる」三号)、「秋に還りぬ」庄司泰子(「全作家」69号)、「懐中のベレー帽」上坂高生(「碑」90号)、「川上未映子「乳と卵」について」間瀬昇(「海」77号)、「クスリ」長谷良子(「凱」30号)、「流された日々」和田浩明(別冊「関学文芸」36号)、「ノイズ」平野潤子(「時空」29号)、「アフリカの旅」諸井学(「播火」67号)。(「文芸同人誌案内」掲示板・よこいさんまとめ)

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「KING」「Style」休刊、9月発売号で=講談社

 講談社は13日、2年前、大型創刊として話題を呼んだ月刊「KING(キング)」を9月発売号で休刊することを決めた。同誌は06年9月に23万部で創刊された男性総合誌。日本初の100万部雑誌となった昭和の大衆総合誌「キング」の名前を襲名し大量宣伝を行うなど、長引く雑誌不況に風穴を開ける雑誌として期待されたが、対象とする20、30代の男性の雑誌離れが激しく、創刊当初から売れ行きが低迷していた。01年創刊の女性誌「Style(スタイル)」も9月発売号で休刊する。(08年6月14日 読売新聞)

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白石一文さん:『この世の全部を敵に回して』を刊行 深めた人生観を吐露

 生きる意味や社会のあり方を真正面から問いかける作風で知られる作家、白石一文さんが12冊目の本になる『この世の全部を敵に回して』(小学館)を刊行した。物語をつくらず、日常に考えていることを一人称で吐露した異色の一冊になっている。

 「アンコだけの小説です。皮も何もない。読者に面白くないと思われても、知ったことか、という思いでした。今、自分が何を考えているのか、自身で確認したかった」

 小説の全体は、心筋梗塞(こうそく)のために53歳で急死した男が遺(のこ)した手記という設定になっている。彼には妻と2人の子供がいた。大手の商社員だったが、43歳で脱サラし、コーヒー豆の輸入販売会社を起こした。

 <人間には、別の人間を信ずるという能力が最初から欠落している>

 <霊能者や教祖たちは、実際には私たち一人一人が抱える根源的な苦しみや渇きを何一つ癒(いや)してはいない>

 <死を恐怖の対象と捉(とら)え、その恐怖が愛の力によって斥(しりぞ)けられると語る者を信用してはならない>

 粘り強い思索から、さまざまな言葉が生み出される。わかりやすく、たとえ話を交えながら、まっすぐに人生は何のために、と問いかけるのが特徴的だ。

 「小説を書いていると、自分が何かを考えているような錯覚に陥る。でも、本当はどうなのか。哲学用語など、難しい言葉を使うことは避けました。特に仏教の言葉を使うと、とても物事を説明しやすい。でも、それは禁じて、借り物の思想ではなく、自前の人生観を語りたかった。それはすべての作家の最低限の義務だと思います」

 物語を書くことの難しさを「今の時代に全体を理解することの困難」に結び付けて解説した。

 「個別的なものを具体的に追求すればするほど、レポートになってしまう。それぞれの細部の情報はパッケージ化されている。そこに入っていくと、詳しくなるのだけれど、全体をつかめなくなる。そしてパターンに陥りやすい。そうじゃない書き方がいかにして可能なのか。探すしかないのが、今の作家が置かれている状況でしょう」

 白石さんは再び、物語の海へ歩みを進めるのだろうか。一人称による告白を経て、今後の展開が楽しみになった。【重里徹也】

■人物略歴◇しらいし・かずふみ= 1958年、福岡市生まれ。2000年に『一瞬の光』でデビュー。代表作に『僕のなかの壊れていない部分』など。(毎日新聞008年6月11日 東京朝刊)


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2008年6月13日 (金)

草思社の再生計画を認可

草思社の再生計画は、6月11日に東京地裁で債権者集会が開かれ、提出されていた再生案が認可された。確定再生債権のうち、5万円以下については全額、5万円以上については2.31%を弁済する。1カ月程度の期間を経て、文芸社の子会社として再スタートする。

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詩の紹介  「病院」 坂上清

(紹介者 江 素瑛)
現代において、病院で死ぬことは、看護士、医者、呼びよせられた家族に囲まれ、插管、心マサージなど苦しい儀式を通らないと、人間の終焉を果たせない。先進医療の不条理さを嘆く作者です。
 そもそも社会の仕組みに組みこまれた生活している人々は、自由な死を選ぶことはありえないのです。
 型にはまった生であるかどうかは、選べても、型にはまった死を避けることは難しい。自由な死は、社会に反逆することなのか。テントで人知れず死ぬホームレスのように。
 死に際に、自分の家族にさよならも言えない死、どうしたら昔ながらの「自然死」を取り戻せるのだろうか。
               ☆
           「病院」  坂上清

いつからのことなのか この国では/ もう自分自身の死を死ねなくなってしまった/ 人は皆同じ死を強いられる

ビルのなかの快適な温度/ 鉄製パイプの寝台/ ガラス瓶と点滴の針/ 白いシーツ/ 白い壁/ 白い衣服にかこまれて/ 皆んな同じやり方であの世で旅立たされる 

もう助からないとわかっていながら/ メスを入れられるのだ/ 切りとるものの何もないのに/ 最後のとどめを刺されるのだ

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2008年6月12日 (木)

有川浩さんら、ケータイ小説を連載

6月12日午前9時から、角川デジックスが運営するケータイ公式サイト「文庫読み放題」上にオープンする「小説屋Sari-Sari」でスタート。料金は無料。有川さんのほか、須賀しのぶさん、神楽坂あおさん、瀧羽麻子さんが長編小説を連載。20代の女性に向けて、「旅と冒険」をキーワードとする作品を展開。作品はいずれも書籍化する。

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2008年6月11日 (水)

同人誌作品紹介「奏」第16号 08夏号

【「彼の呼吸」小森新】
 23年間、私立高校教師をしてきた彼の内面に、自己を見つめる存在があり、架空の自分の視線で物語る。自己を二重意識で描いた私小説的形式と内容の作品。三年前に尊敬する今村理事長が亡くなり、心の支えを失う。学校運営を財政的な面で重視する現在の校長。今村先生はその前の校長であったが、教育的信念より、財政的な要因で、苦しい立場に追い込まれていた。校長下ろしの力が出てきた時に、彼は反対をしなかった。結果的に消極的な加担になってしまっていたことにこだわる。教育界のおそらくもっと生々しいであろう現実の状況を組み込み、作者のべダンチックな心象風景を表現している。作中に引用される古典作品が多くある。自分は「告白」しか読んでいないので、よく理解できなかったが、何となく読み通してしまった。こういう引用の仕方では、この作品は小説ではないような気もした。

 その他、【「芹沢光治良とユマニスム~アンドレ・ジッドとの関連で」勝呂奏】は、ジッドは一部しか読んでいないので(「背徳者」や「地の糧」は読んでいるが)あるが、読んでいなくても引用によって、ジッドと芹沢が、ユマニスム精神にひきつけられた作家で、そのポリシーがわかりやすく、伝わってくる。【「藤枝静男二考」勝呂奏】は、作家の自己嫌悪的な発想と「性欲」の関係を作品から分析している。引用の部分に記憶があり、藤枝作品は、自分も幾つか読んでいたらしい。藤枝は自己確認のあり方のひとつとして性欲を題材にしていたように受取った記憶がある。何を題材にすると自分の存在感が表現できるかを、知っているので、あのような作品が出来たように思う。他にも題材に工夫がある作家で、映画館でポルノを見ることを糸口にするようなところもあって、直接的な本人の悩みとは異なるものがあるのでは。
 本誌の発行関係者は、亡くなった作家・小川国夫の弟子か親しい人らしい。あとがきに追悼の言葉がある。
追記:表紙は、小川国夫の高校入学時に描いたという「南瓜」の絵である。

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2008年6月10日 (火)

第1回「城山三郎経済小説大賞」は、松村美香氏「ロロ・ジョングランの歌声」

ダイヤモンド社、第1回「城山三郎経済小説大賞」は、松村美香氏「ロロ・ジョングランの歌声」を大賞に決めた。応募総数は72作品だった。受賞作はダイヤモンド社から単行本化される。

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2008年6月 9日 (月)

講談社ノベルスで篠田節子さんの「転生」

(講談社「Webメフィスト」HPより)
篠田節子(しのだ・せつこ)プロフィール='90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。'97年には『ゴサインタン――神の座』で、山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞を連続受賞。
           ☆
(篠田節子(しのだ・せつこ)「転生」のあとがきのあとがき)
 十五年ぶりにノベルスの依頼をいただきました。五十過ぎのオバハンに向かって、若者対象の媒体の、しかも本格ミステリの牙城で、何をか書けとの無理難題。
「ヤだよ。中年女が渋谷のクラブに闖入して、ゴーゴー踊るの図じゃない。つまみ出されるのがオチだよ」
「だから、今回は、講談社ノベルス二十五周年のイベントなんスよ。同窓会です、同窓会!」
「んなこと言ったって、M川H子母さんだってT川M子女史だって、R城法師だって、復刻じゃん。あたしのも……」
「喝っ! 十年早い」
というわけで、ぴかぴかの新作とあいなりました。
同時刊行のノベルスの中では浮きまくっております。中身は本格でも変格でもYAでもありません。SF&冒険&伝奇バイオレンス(若者は知らんだろう、この言葉)&エロス&旅情ミステリであります。
更年期の体に鞭打って、チベット取材も敢行いたしました。標高五千メートルの薄い空気と凍りつく大気、まぶしい陽光と燻香の匂いなどを、行間から感じ取っていただければ幸いです。政治的にアブないオバサンギャグがあまた出てまいりますが、無視してやってください。
題材は敬愛する上田秋成から取りました。雨月物語の艶やかな怪異は大変に魅力的なものですが、老境にはいった秋成の冴え渡った知性をうかがわせる春雨物語に横溢する飄々たるユーモアとウィットもまた格別です。題材を古典に拠ったとはいえ、まだまだジャパネスクに走るほど枯れてはおりません。舞台は二十一世紀の変わり行くチベットといたしました。
中盤以降、気宇壮大な与太話が出てきますが、百パーセントが私の創作ではなく、この種のアイデアは専門家から現実に出されているものです(今のところ、実現可能性はありません)。描写については、ディスカバリーチャンネルの「メガ・プロジェクト」「世紀の建造」他、ドキュメンタリービデオが大変に参考になりました。
作中のシシャパンマという山は、南のネパール側からは「ゴサインタン」と呼ばれています。シシャパンマは、「家畜が死に絶え、麦も枯れる地」、ゴサインタンは「神の座」という意味。なりふり構わぬ中年パワー炸裂の一作になったかと思います。お楽しみいただければ幸いです。

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「同人雑誌評」「文學界」08年7月号・勝又浩氏

《対象作品》「全国同人雑誌会議」三田村博史(「文藝家協会ニュース」680号)、「中部ペン」(名古屋市)、「文学街」(東京都)、「同人雑誌全国会議意見交換会」名村和実(「KANSO」86号/鈴鹿市)、「全作家」(東京都)、「信州文藝」(上田市)、「文芸思潮」(東京都)、「文芸東北」(仙台市)、「イエスよ涙をぬぐいたまえ」江口宣(「九州文学」523号/中間市)、「聖母子と廃本」渡辺勝彦、「旅先の界隈」谷澤弘昭、「華麗なる金鯱物語」森田ちゑ(以上「R&W」4号/愛知郡)、「五女」片山峰子(「岡山文芸」98号/総社市)、「青空と軽便鉄道と」原口登志子、「母との旅」高橋光子(以上「群青」72号/武蔵野市)、「葡萄の杖」山之内朗子、「アイリス」塚越淑行、「般若の道」城田彩香(以上「まくた」259号/横浜市)、「最終バス」秦斗志三、「陽炎」山口道子(以上「南風」23号/福岡市)、「路地裏の温泉バナナ」山人海人、「侵入者」中山直美(以上「日田文學」56号/日田市)、「編集後記」、「星が見えない」大石國行(以上「彩雲」創刊号/浜松市)、「私の恋は」吉田啓子(「勢陽」20号/伊勢市)、「子生(こなじ)―私鉄廃線跡探索奇談」羽黒英二、「宝の/はこ」坂本良介、「虫達への挽歌」高橋ひとみ(以上「文藝軌道」4月号/大磯町)、「骨かじる」さとう裕、「十三夜月」宮崎眞弓(以上「グループ いかなご」4号/明石市)、「兄の番」関幸子、「私だけの赤」飛田一歩(以上「湧水」39号/東京都)、「伝言」宮本誠一(「詩と眞實」707号/熊本市)、「蝶の帰り道」古木信子(「季刊午前」38号/福岡市)、「朱光院」稲垣瑞雄、「白鷺の女」楢信子(以上「双鷲」69号/八王子市)、「『突貫小僧』の末っ子実」岡山和男(「七十代」16号/東京都)、「漂白」豊田一郎(「孤愁」3号/横浜市)、「VIKING(一)」中尾務(「VIKING」688号/茨木市)、「ランナウェイ」谷口浩、「眺望レストラン」中村建夫(以上「文学地帯」105号/堺市)、「ステンカ・ラージン―凍土の恋―」矢内久子(「風姿」3号/上尾市)、「家の繕い」小野誠二、「蜘蛛男」服部進(以上「北狄」342号/青森市)、「神々の涙と微笑みの満ちるところ」伊吹萌、「歌姫が去った日」仙波進太郎(「私人」62号/東京都)、「ZEAMI」野上周(「YPSILON」春増刊号/三島市)
ベスト5は、「イエスよ涙をぬぐいたまえ」江口宣、「子生」羽黒英二、「侵入者」中山直美、「最終バス」秦斗志三

なお、今回の見出しは「同人雑誌ネットワーク」と題し、冒頭で、全国同人雑誌会議や信州文芸誌協会、九州芸術祭文学賞などの例をあげて、ネットワークの可能性に触れ、下記のとおり、それを結んでいます。
「・・・何らかの条件、きっかけさえあれば、現代同人雑誌ネットワークが一つの組織的力、つまり“予備軍”ではなく、れっきとしたもう一つの“文壇”を形成するのも決して夢ではないであろう。そして、そのきっかけの一つが、本年いっぱいでのこの欄の廃止という“事件”になるだろうか、というのが、私の目下の夢想である。」(「文芸同人誌案内」掲示板・よこいさんまとめ)

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2008年6月 8日 (日)

2010年は「国民読書年」…衆参本会議で決議採択

 衆参両院は6日の本会議で、2010年を「国民読書年」と定める決議を全会一致で採択した。
 決議は「文字・活字を受け継ぎ、更に発展させ、心豊かな社会の実現につなげていくことは、今の世に生きる我々が負うべき重大な責務」と明記した。また、「我が国でも『活字離れ』と言われて久しく、年齢層を問わず、読書への興味が薄れていると言わざるを得ない」と指摘。この現状を受け止め、05年の「文字・活字文化振興法」制定から5年にあたる10年を「国民読書年」と定めることとし、「政官民が協力し、国をあげてあらゆる努力を重ねる」とした。(08年6月6日、読売新聞)

 どうして活字離れを起こしたかを調べ、その対応策を検討するのが、道筋ではないのかな。コメを食べなくなったからコメを食べようというのと同じレベルだね。

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作品紹介「冬女夏草」のおわび訂正。その他、お便りへの連絡

★同人誌作品紹介「木曜日」(3)の「冬女夏草」の作者、よこいさんからの下記のような誤りの指摘がありました。
たしかに、書き手は「わたし」の人称になっています。よこいさまには、お詫びして訂正します。また、毎回「文学界の同人誌評」のリストを転載させていただいて、有難うございます。(鶴樹)
                      ☆
こんにちは。「木曜日」の編集を担当しているよこいです。
「木曜日」について、たびたび記事にしていただき、ありがとうございます。

また、今回は拙作に触れていただいたこと、思ってもみなかった、例えば「石川淳」の影響などを示唆していただき、ありがとうございます。
でも、人称は「ぼく」ではなかったことは、指摘させていただきます。科白(カギ括弧)のなかでもその人称は使っていませんので。
                       ☆

★同人誌「季刊遠近」のkitaohiさまへ
同人誌「季刊遠近」のkitaohiさまより作品紹介のへのお便りをいただきありがとうござます。
先日も手賀沼に行ってきました。広いので、1度や2度ではその良さがあじわえませんね。(鶴樹)

★当会へ同人誌を送ってくださる方々へ、ご連絡
当会には、鶴樹と普通人の会員しか存在しません。当会内宛てに、著名な評論家名で送付されても、保留となってしまいます。転送も出来ません。2つの雑誌が保留となっておりますその旨ご了承ください。

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2008年6月 7日 (土)

同人誌作品紹介「木曜日」第24号(さいたま市)(3)

【「病院(ホスピタル)幻想曲 その後」菅原英理子】
 「ここに行って来て下さい。/病院のベッドの上で先々月のカレンダーを小さく破って作った紙切れには、祖父が震える手で書き付けたたどたどしい文字と切った」

 幻想曲であるためか、主人公が写真家であったらしい祖父が入院中で、何かを頼まれて、外出するところから始まる。しかし、何を頼まれたかは、読者にはわからない。幻想だからか、どうか。仕掛けがありそうな予感で読み進む。お使いの途中の風景には、街の裏通りの墓地という景色もある。
  回想のなかで、今にも死にそうな祖父の姿を浮き彫りにする。そのなかに庭の手入れをする業者の女が出てくる。この女の書き方はなかなか面白く、個性をよく表現している。結局、主人公は、祖父が展示会に出した作品を受け取りに来たらしいことがわかる。その写真をもって、病院へ向かう途中の車窓から見える棕櫚の樹を眺めるところで終わる。祖父の死に際の視線を受け継いで見た風景なのかも知れない。
 身内の死に際を知ったときに抱く、言いようのない死への違和感のようなものが表現されている。技巧派らしい手法を意識した書き方に個性を感じる。

【「小説は書かなくてよい」井上雅弘】
 作者は、年に1度、小説を書いてきたが、長いものが書けない。30代後半になって、自分が小説を書きたいのではなく、「ただ単純に自分の言葉を残したいだけなのではなかろうか」と思い至るのである。原点にもどると、たしかにそうである。同人誌は自己表現の場であるから、身辺雑記でもいいことになる。特に、働き盛りの人間には、落ち着いてじっくり物を書く時間はないかもしれない。夫を気づかう優しい妻や、生活上の感想を述べる。

【「冬女夏草」よこい隆】
「ぼく」は、中国人のホステスの「おまえ」を愛し、その行動を見つめる。ホステスである「おまえ」は、つねに男からの誘惑のど真ん中で仕事をする。「わたし」(「ぼく」を訂正しました=鶴樹)は、それを気にかけて、詮索する視線を向ける。シフトを変えたスタイルの独白体小説になっている。
 出だしの第一行目は、考えすぎか力みすぎで、石川淳スタイル悪影響か。文体の魔術から脱け出せていない形跡がある。
 しかし、こうした文体とスタイルは、それに見合う話の組み立てが要求され、その規制によって、まとまりのある物語になっている。この作者の作品を読むのは、三作目であるが、前の二作はイレギュラーな運びが随所にあり、意図がよく理解できなかった上に、その舞台となる背景も未知なるもので、出来が良いのか悪いのかさっぱり見当がつかないものであった。
 今回は、文体と舞台設定に凝ったことから、普通のお話になっている。なにやら中国人女性との愛の物語がなかにあって読みやすい。果たして、舞台が新宿で、女が客の男に渡されるものが、麻薬でなければならないものかは、わからないが、非日常性の世界を舞台にしたことで、愛の世界がドライに浮き上がるので、ウエットな部分が引き立ち効果があった。小説は書いてみないとわからないものである。なにやら優しい心の交流まで垣間見える。同時に、二人の愛の行方はわからないながら、闇に消えるものではなさそうだ。

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文芸時評「讀賣新聞」西日本地区版6月6日、夕刊、松本常彦氏

今回は「存在の根っこを問う」と題して、2冊の出版紹介です。
西村聡淳『唯一度きりの手紙』(幻冬舎ルネッサンス)、八田昴『霧のなかの赤いランプ-無法松・俊作の一生』(北九州文学協会)(「文芸同人誌案内」掲示板・日和貴さんまとめ)

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詩の紹介  「開発の街」 坂上清

 「何がありましたか?」 「いや別に・・・・・」
 意外な方向に走る大衆心理。かわいくもあり、恐ろしくもある。マスコミ、メディアの煽動に、ついつい振り回されてしまいます。好奇心に応じたくない気持ちを作者が閉め括ったのでしょうか。ふとしたことで大衆が動いてしまうことへのユーモアにも受取れます。思わぬことから扇動者になてしまった照れと重なり、冷静さと微妙な危機感を警告しているようにも。
 作者は、1928年生まれ、毎日必ず一時間以上早足で歩く作者は、町田市の開発と、汚染を題材にして沢山の作品を書いています。
 人が見るもの、わたしも見たい、人がすること、わたしもしたい、という人間の心理が変な社会をつくるのです。
 一人が視線を投げると、ひとはその視線の先を注目することがよくあります。
 さて、それでは、私の紹介文での、この詩に注目した視線に、人々は立ち止まってくれるのでしょうか。
 (紹介者 江素瑛) 
         ☆
           開発の街 (4)       坂上清  

 今/ ぼくは/ 汗をふきながら歩いていた/ 街路樹の蔭をつたいながら/ たくさんの人が歩いている舗道を
 
 街路樹は何という名の樹だろう/ふと立ち止まって樹木を見上げた/排気ガスで痛んでいるなあ/ などと思いながら・・・・

 ぼくの後を歩いていた人も/樹木を見上げて立止まった/ するとその人の後の人も/樹木を見上げたのである/ 次の人も止まった/次の次の人も/忽ち人垣が出来てしまった 
 
 ひとりひとり不思議そうに/ 樹木を見上げてかたまっていた

 ぼくはそこから抜けて/ もと来た道を引き返した/ 歩いて来る人たちは次々に
 集まって/ 人垣はますますふくれあがっていった
 
 すれ違ったひとはぼくに問いかけてきた/<何がありましたか?> /<いや別に・・・>
 / ぼくは汗をふきながら歩いていった
 

     現代詩人文庫・坂上清詩集より  2008年5月 東京都・砂子屋書房版
…………………… ☆ ……………………
テレビが新聞を読み上げる時代になりました。情報ルートが単純化しすぎています。情報の多様化に参加のため「暮らしのノートPJ・ITO」ニュースサイトを起動させました。運営する団体・企業の存在感を高めるため、ホームページへのアクセスアップのためにこのサイトの「カテゴリー」スペースを掲示しませんか。文芸同志会年会費4800円、同人誌表紙写真、編集後記掲載料800円(同人雑誌のみ、個人で作品発表をしたい方は詩人回廊に発表の庭を作れます。)。企業は別途取材費が必要です。検索の事例
連携サイト穂高健一ワールド

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2008年6月 6日 (金)

文芸社『B型自分の説明書』100万部達成

文芸社の『B型自分の説明書』が6月6日出来の増刷分で累計100万部に到達する。昨年9月に初版1000部の自費出版本として発売。山形・TENDO八文字屋の拡販から火がついた。最近1カ月で50万部を発行と、5月期がもっともハイペースで動いている。『A型~』も50万部を達成。6月13日には『AB型~』を初版10万部で発売する。

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2008年6月 5日 (木)

文芸部門1位は東野圭吾著「流星の絆」(講談社)、総合1位は田村裕著「ホームレス中学生」(ワニブックス)…上半期ベストセラー

 今年上半期の書籍ベストセラー(トーハン調べ、昨年12月~今年5月)が3日発表され、昨年の年間ベストセラー文芸部門でベスト3を占めた「ケータイ小説」は、9、10位にランクインするにとどまった。

 ケータイ小説は、携帯電話やパソコンのサイト上に横書きで発表される小説。10代~30代の女性らが実体験をもとに創作し、同年代の女性を中心に読まれている。美嘉著「恋空」(スターツ出版)など、書籍化され100万部を超えるヒットも出ており、昨年の年間ベストセラー文芸部門ではベスト10の半数を占めたが、今回は9位のreY著「白いジャージ 先生と私」(同)、10位のメイ著「赤い糸precious」(ゴマブックス)の2作だけだった。

 情報社会に詳しい国際大学グローバルコミュニケーションセンター研究員の鈴木謙介さん(32)は、「ケータイ小説の総数が増えた結果、大きなヒットは出なくなったのだろう。昨年11月公開の映画版『恋空』が人気を集めるなど、ブームが去ったと見るのはまだ早いのではないか」と話している。

 文芸部門1位は東野圭吾著「流星の絆」(講談社)、総合1位は田村裕著「ホームレス中学生」(ワニブックス)だった。(08年6月3日読売新聞)

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2008年6月 2日 (月)

容易ではない水質改善

 TV番組で、中国の汚染された川や湖の水質を、日本の技術で改善する試みをしているのを放映していた。効果あっても、放送では効果があるとしていた。費用の面で実験でしか出来ないようなものに思えた。一度汚染したら容易でないことは、手賀沼の様子でわかる。現在以上に浄すしるのは、難しいそうだ。
遊覧船に行列!”あやめまつり”はこれからが見ごろ=我孫子市

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詩の紹介 「雪片」 原 かずみ

(紹介者 江素瑛)
曇り空の重く垂れている雲と稲妻を胎盤に喩える趣の面白い作品です。胎盤は、少女の初潮とも、卵子の成熟により、子宮内膜が増殖したものである。妊娠するかしないかで、胎盤と月経の異なる組成物を造る。作者は、雪片の生成を介してそれを巧みに連想させる不思議なイメージ。
  暴風雪の降る日、少女は大人の女に成長したのでしょうか。
            ☆
          雪片       原 かずみ
雨に霰がまじりだす/ 言葉の季節は終わってしまった/ 晴れやかに照り返していた黒瓦の家々/ その下で母音を奏でていたいくつもの口/ どれもが小さくすぼんで/ 嬰児のように/ ふきすさぶ風音を聞く

天蓋に/むらむらと寄せてくる胎盤/ 厚ぽったく積んでいく雲の内側を/ 青い血管が花火を散らして走っていく/ 仮死した街/募っていく破裂音/ 暗く閉じていく空の奥で/ ぼうと鈍く光りだす水性の卵
 
  底無しの空の沼/ 祈りのように/ 漕ぎ出された一艘の葦舟/ 風にしだかれ/ 櫓を失い/ 水底深くに光る卵に呑み込まれて

凶暴な風にあやされ/はるかなエネルギーを吸いながら半透明な空の卵は/もう町を圧するほどに膨らんでいる/皮は透けるほど薄く/中は重たく充実して

ふいに 風の音が止む/空の一角がゆっくりとひび割れ/生まれたての雪片が散華のように町に舞う

学校の大きなガラス窓から/雪雲を見上げていた少女の体内を/初めての血が滴り落ちる
        
       詩誌「まひる」4号より08年5月アサの会 PART 2(あきる野市)

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同人誌時評「図書新聞」08年6月7日たかとう匡子氏

《対象作品》「古典と現代詩」藤井貞和、「劉震雲『携帯電話(手機)を読む」劉燕子、「戦後の竹中郁の方向性―第七詩集『動物磁気』を中心にして」冨上芳秀、「孤高をめぐって―金素雲おぼえがき(1)」倉橋健一、岩成達也、新井豊美、北川透(以上「イリプスⅡnd」創刊号/香芝市)、「私の作家論」庄司肇(「文学街―別冊・第四巻/東京都)、「漂白」&「あとがき」豊田一郎(「孤愁」三号/横浜市)、「軍医と戦争」千早耿一郎(「象」60号/名古屋市)、「生還(泥だらけの青春)」千田一郎(「風」10号/太宰府市)、「階段の尽きるところ」荒井隆明(「出入口」7/東京都)、「草の葉」荻悦子(「るなりあ」潤・0/相模原市)、「高千穂神楽 神いますなら神いませども」美濃和哥(「彗星」Ⅲ号/掛川市)。なお、たかとう氏は「文學界」同人雑誌評の打ち切りについて、冒頭と末尾で下のように書いておられます。
冒頭
「たまたま、半世紀以上もつづいた月刊文芸誌「文學界」の同人雑誌評が年内で打切られるのを読売新聞の記事で知った。理由は高齢化がすすみ老人雑誌になったことと、寄せられる雑誌の数が減ったからだという。近代社会の中に出てきた同人雑誌は、もともとそれ自身が自立しており、この雑誌評の消滅によって、力をなくしてしまうとは考えにくい。」
末尾
「冒頭に書いた「文學界」の同人雑誌評、年内打ち切りは、商業ジャーナリズムによって文壇予備軍としての同人雑誌が役割を果たせなくなったと思うほうがよい。こういうときだからこそ、ここでゆっくり腰を落ち着けてやるべきだと思う。私は詩を書くのでその立場からいうと、詩の同人雑誌はけっして老人雑誌になっていない。若い人の雑誌はたくさんある。」(「文芸同人誌案内」掲示板・よこいさんの投稿より)

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2008年6月 1日 (日)

コンビニ専用書籍の動向

セブン―イレブン・ジャパンが人気作家と組んで、コンビニ専用書籍に乗り出した。すでに関東の約4000店で発売を開始している。これは、宮部みゆきや大沢在昌、京極夏彦などの人気作家が所属する大沢オフィスとの共同企画、小説「ペーパーバックスK」シリーズと銘打って、まず、宮部みゆきの『ステップファザー・ステップ』(550円)と、大沢在昌の『女王陛下のアルバイト探偵(アイ)』(600円)、京極夏彦の『薔薇十字探偵』(500円)を手始めに発売している。販売部数は3万5000部と見込んでいる。
 表紙のイラストも豪華。漫画『デスノート』の小畑健をはじめ、『シティーハンター』で有名な北条司、『鋼の錬金術師』の荒川弘らが書いている。人気作家と有名マンガ家の組み合わせで、若い人たちへもアピールしようという狙い。
 これまでコンビニ専用書籍は、500円程度のハウツー本のイメージだが、セブン―イレブン・ジャパンが取り組むのは本格的な書籍。セブン―イレブンでの雑誌販売は10%のシェアがあるが、書籍販売は1%未満。これがうまくいけば、同社では、書き下ろしの小説や、全国に1万2000店舗での販売も検討している。セブン―イレブンは日本で最大のコンビニ。本格的に書籍を扱うことになると、全国の書店への影響は無視できない。
 書籍販売については、書店に行かない人にも作品をアピールできるので、作家にとっては新しいファン層の開拓につながる。部数にしても、たとえば1店舗で10冊売れたとすると、全国で12万冊売れることになるから、出版社としても魅力があるようだ。

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「ヤングサンデー」と「Judy」を休刊に=小学館

小学館は、「週刊 ヤングサンデー」は7月31日発売号をもって休刊。同誌に代わる新たなコンセプトのコミック誌を創刊する予定。女性月刊誌「Judy」は8月23日発売の10月号で休刊。また、隔月刊のシニア情報誌「駱駝」は7月10日発売号の発行後、9月発売号を休み、11月発売号からリニューアル新装刊。誌名を「プラチナサライ」に変更し、編集内容および発売日も一新する。

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