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2008年5月 7日 (水)

同人誌「木曜日」第24号(東京)作品紹介(2)

【「紙のお城・からっぽの箱(らせんのおうち)」上田万紀】
 10歳の誕生日に、母親が「私」を呼んで「お前はもう子どもではない」と、祖母や叔母の関係を打明けられる。家庭のいきさつが、業務報告書のレポートかメモのような文体で記される。変わったスタイルはおもしろい。この行間に、言いたいことのポイントが隠れているようだ。それをどのような形で表現するかの課題を提出したような小説になっている。
【「三毛猫三毛子」北川佑】
夏目漱石の「我輩は猫である」の猫のような猫に、恋をする猫の三毛子の物語らしい。この三毛子は、脳内思考の電気信号を直接受け止めて解読できるという超能力をもっている。うらやましい能力なのか、不幸な才能なのか。正しく読み込むのにも、能力が必要のようだ。
【「黒猫くろべ」北川佑】
 語り手は現在、脳梗塞でやっと歩けるような情況にあるが、回想をする。それは30代に入る頃に、研究のため老人介護施設の現場に入る。すると、黒猫が人間に変身して人生における生と死について語りかけを受ける。哲学的思考と感性を混ぜてかき混ぜるような味のする作品。味付けがあっさりしているのが特徴。

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