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2008年5月22日 (木)

同人誌作品紹介「木曜日」第24号(さいたま市)(2)

【「竜善」小梢】
竜善和尚は、北国のお寺の住職である。寺は幼稚園も経営している。竜善は、胃がんの摘出手術のあと、肺炎を恐れ、病気をおそれて暮らす。小心ではあるが、正直な性格である。作者は、巧みな語り口でこうした性格をユーモアをもって活写する。夫婦の関係、幼友達の春江との交流、友達との付き合い方が具体的なエピソードで紹介される。滑稽味のある表現力は、才気才能を感じさせるものがあり、面白く読める。竜善は病気の心配をしながら、人間関係に右往左往し、ある日、蜂に刺されてショック死してしまう。人間的、人格的に偉大ではないが、仏道に沿った真っ当な人生のあり方を示してみせている。軽い調子の語りにもかかわらず、作者の宗教的な造詣の深さを感じさせる良質な作品に思えた。
【「腐った水」坪倉亜矢】
ボクサーの心理、その観客の心理、阪神淡路大震災の体験、会社内パワーハラスメントの体験、女性同士の友情など、さまざまな要素を盛り込んで、題材ごとにそれぞれの人々の内面を語る一人称多視点のモザイク形式の小説。いろいろな素材をミックスしてサラダボールに入れて食べるような面白さがある。語り手の内面もかなり工夫をして深みが出ている場面もあり、読みやすく面白く感じた。このような手法は、複雑なストーリーを分かりやすくするために採用されることが多く、娯楽小説の読者サービスに向いている。よほど高度な技術でないと純文学的な深みを与えるのが難しいようだ。この作品は力作感が充分あり、現代人の肌合いをよく表現している。同時にその表現内に留まっている、とも感じた。

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コメント

文学フリマ、お疲れ様でした。貴誌買わせていただきました。ぼちぼち読ませていただきます。
木曜日の会員の方に一言。
私どものブースに来て、会誌を眺めて『これは普通の同人誌ではないですね、うちとはやり方が違う・・・』とおっしゃった。
純文学・エンタメ・詩・短歌・随筆・評論とジャンルは様々だが、極めてまじめに会誌を作って16年取り組んできたつもりだ。会によって運営の仕方が違うのは当たり前ではないだろうか。
ライトノベル系の多い中、硬めの同人誌がフリマに出店していることの意義を感じていたところでした。
買う、買わないはどちらでもよいが、不愉快な思いをしました。(この方が木曜日の方であることは確かです)

投稿: SAKAMOTO | 2011年6月15日 (水) 00時21分

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